メルマガ;195th 「現代の明治維新──超富裕層が見据える30年後の未来と日本の転」
【目次】
- 今週の一言/モノリスの活動日記
こんにちは。門垣です。
先週もお客様をはじめ、さまざまな方とお会いし、対話を通じて新しい気づきや学びがありました。その中で、世界の著名ファミリー財団が寄付をしている非営利団体を運営する海外ゲストの方と、明治記念館で食事をしながらお話をしました。

(写真を撮り忘れたのでウェブサイトより抜粋)
最近は食事をする場所を私が予約する場合は、テーマを決めて、そのストーリーにあわせて選ぶことにしています。もちろん優先的に相手の食べたい希望に合わせますが、今回は明治維新を想起させる時代の転換点を意識して、明治記念館を選びました。
明治維新以降、日本は鎖国を解き、西洋の文化や技術を積極的に取り入れながら近代化を進めました。鉄道はイギリスから学び、紡績業や興業、金融業を基盤に、富国強兵というスローガンのもと重工業や科学技術が急速に発展し、仕事だけではなく人々のライフスタイルも和服から洋服へと大きく変わっていきました。
ちなみに最近読んだ「日本ファッション150年の歴史」の本によると、和服は機能的に欠けており、戦争など戦うときも動きづらい弱みがあったようで、その背景もあって、人の身体にフィットする海外の服、つまり洋服が導入され、広がっていったと言われています。

週末は渋谷の山種美術館に行き、江戸時代の浮世絵を見てきましたが、展示されていた作品の多くで、男性は小袖を着ていましたが、「東海道五十三対」の絵を眺めると、ほぼふんどしのような姿の人も多く描かれていました。実際に目にすると、当時の衣服は動きづらさや機能性に欠けていたことが印象的で、改めて洋服への移行には必然性があったのだと感じました。

(写真撮影が禁止だったので、ウェブから抜粋)
ヨーロッパでは14世紀半ばにペストが流行し、労働人口の減少をきっかけに封建制度が揺らぎ、その後ルネサンスが台頭し、啓蒙思想が広がり、18世紀後半にはイギリスを中心に産業革命が起こりました。
この大きな変化に何百年もかかったのに対し、日本は江戸幕府が約260年続いた後、わずか半世紀ほどで封建社会から近代国家へと劇的な転換を遂げました。ヨーロッパが長い時間をかけて変容したのに比べ、日本のスピード感は際立っています。
私はこのスピードに寄与した一因として、日本人のオタク気質があるのではないかと思っています。日本はゼロイチよりも、すでに何かあるものを徹底的に磨きあげて、世界のトップにまで持っていける強みがあります。
多くの人は中国について「模倣ばかり」と言いますが、日本も基本的には模倣から始めています。お茶も浮世絵などのアートも中国からの影響を受けていますし、前述した通り鉄道も製造技術も、結構海外の技術を取り入れて自国で発展させています。
そして現代。欧州で起きた、産業革命のきっかけとなったペストのように、約5年前にコロナ・パンデミックが起こり、人々のライフスタイルは急速に変化しました。
マクロ的にはAIや宇宙開発が凄まじいスピードで進み、日本のミクロ的な観点では世界の中で唯一低金利を維持し、デフレから脱却できない環境のなか、海外企業や富裕層が投資を行い、そして観光客が日本に殺到しています。
時代背景やきっかけは異なりますが、江戸時代に捕鯨船の寄港や中国へいくための中継地としてペリーが来航し、開港して、明治維新へと発展していったように、また大きな転換が訪れるのではないかと強く感じています。
さて、冒頭の財団関係者との会話に戻りますが、私は「なぜ財団は今回お会いした団体への寄付活動に多くの資金と時間を投じるのか」と質問しました。返ってきた答えは意外なものでした。
それは「30年後、世界は圧倒的に変化し、人口減少や環境悪化によって地球は今よりも住みにくくなる」という見通しが、超富裕層や財団の間でほぼ共通の認識になっているということでした。
陰謀論のように聞こえるかもしれませんが、実際には冷静に未来を見据えた有識者がそう考えており、それを防ぐために自己資本を投じて社会課題を解決しようとする取り組みが増えているのです。(ちなみに、最近話題になっているビル&メリンダ・ゲイツ財団ではありません。)
こうした話を聞いて、正直なところ危機感も覚えました。ただ、人類や地球にとって大きなパンデミックや戦争などの出来事が起点となり、世界は常に大きく動いてきました。
産業革命後はイギリスが世界を支配し、第二次世界大戦後からインターネットの台頭からはアメリカが世界を圧倒しました。
そしてコロナを経たポスト時代には、世界のどこへ行っても「日本は素晴らしい」と言われるような尊敬される国であることを活かしながら、日本的な美徳──助け合いや調和の精神──が広がり、より良い社会につながっていけばいいと感じた一週間でした。
今週もよろしくお願いします。