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メルマガ: 93th 「幸せは引き算、今年IPOした55社は/本当に良かったのか」

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【目次】

1.今週の一言/幸せは引き算

2. モノリスの活動日記/投資信託の報酬が減少

3.富裕層コラム/記事にコメントナスダック上場、中国/香港不動産、ローンデフォルト

4.経営コラム/IPO銘柄55銘柄の株価推移


1. 今週の一言/幸せは引き算

こんにちは。門垣です。

最近は、「富裕層は何に興味があるのか。
どのような生活なのか。何を購入しているか」など聞かれることが多い。

正直、お客様と話していても、人それぞれだし、ラグジュアリーな生活を過ごしている方もいれば、物欲もなく質素な生活をしている人も、本当にバラバラだと感じてきた。

一方で、誰にでもあてはまる、精神的な豊かさ、

つまり、心の富裕層の考え方は、行き着くところ、そんなに違いはないのではないかと思ってきた。

週末に読んだ記事「ハーバードの同窓会で学んだ、人生後半に幸せになる人の特徴。デンマークの暮らしと符合する「満足」の捉え方」では、

幸福は感情ではなく、
喜び(Enjoyment)、満足(Satisfaction)、
意味(Purpose)の組み合わせであり、

人生の方向性と定義。

人は、前進することで、幸福感を感じられるが、

歳をとるにつれて、この幸福感は薄れていく。

より多くを求める人よりも、
減らしていく人が幸せになれるという。

最終的には、
人としての根っこのケア、
つまり家族、友人、愛する人、
大切にしている友達に囲まれている
人が幸福感が高いみたいです。

https://www.businessinsider.jp/post-273607

自分自身を振り返っても、まだまだ個人や会社の成長を感じることで幸福感を感じられているが、同時に、根っこは大切だよなと経験、感じた一週間でした。

2. モノリスの活動日記/投資信託の報酬が減少

三菱UFJ国際、主力投信手数料下げ 野村アセットに対抗

三菱UFJ国際投信は「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」の信託報酬を9月8日から半額程度に引き下げる。野村アセットマネジメントが運用し、手数料が年0.05775%と業界最低の競合商品と同水準にする、との報道がありました。

これから、富を集めるために、各会社は商品価格戦争に巻き込まれていくと思います。運用会社は、運用/リサーチ、取引チーム、バックオフィスチーム等の人件費に加えて、Bloomberg等の情報・分析システム、ポートフォリオシステム、リスク管理システム等のシステム、オフィス家賃代などたくさんの費用がかかっています。

投資信託の報酬金額が少なくなると固定比率が増加するため、生き残れる会社とそうでない会社が生まれてきます。

こうした流れを受けて、アメリカのトレンドとしては、取引チームは外部委託をしたりして、固定費を削減しています。日本の運用会社は、特に外貨建ての商品について自前で運用することは少なく、多くの会社は、海外の運用会社が組成した商品をみつけて、日本用に商品を変え、販売しています。

つまり、モニタリングはしているものの、運用自体は委託していたりもします。

これは固定費削減というよりかは、海外の企業を深く分析することが容易でなかったり、コストが重なるからです。今後は、さらに取引チームも外部委託をする会社が増えると予想しているため、運用会社の本質が問われてきます。

さて、モノリスは富裕層向けの運用助言会社です。

わたしたちにとって、お客様の資産を保全し、
増やすことが仕事であるため、

運用戦略、分析、リサーチ等は
サービスの根幹になります。

年末に向けて、さらなる運用チームの強化を
進めていきます。

そして、証券会社や運用会社では、
受けたくても受けられない、

運用以外にも、付加価値あるサービスをより多く
提供していきます。

3. 金融コラム/金融・富裕層記事にコメント

Nasdaq上場の日本企業「Warrantee」、
たった20日で株価4ドル→1ドルに下落。正社員も1名→0名か
https://suan.tokyo/waratteiin/

先月25日に、大阪本社の保険スタートアップ企業「Wrrantee」が東証を通り越して、いきなり米ナスダックに上場。しかしながら、たった20日間で株価が1/4に。

22年通期の売上も2.2億円、営業利益-8900万円で上場しているためなんか不思議ですね。部分的にサービスの停止?もあったり、嘘か誠か、被害者の会も発足。

社長が約74%の株を保有しており、シンガポールに住みながら、アジア展開もしているようですが、保険会社というよりは実際はマーケティング会社。

顧客が物を購入(家電等)をするときに、無料で保険に入ることができる。条件として、顧客は顧客情報データを家電メーカーに渡して、Wranteeが家電メーカーへのマーケティングを手伝い、その代わり家電メーカーが保険金額を肩代わりする「無料インシュランス事業」を展開。

B to B事業なので実態が見えにくく、なんともいえないが、テクノロジー界隈で、「If you are not paying for the products, you are the products」(サービスのお金を払っていないのなら、あなたが商品だ)という言葉がありますが、まさにこの言葉を体現していますね。

さて、どのようにデータを使って、業績を向上させて、消費者や市場からの信頼を取り戻すことができるのでしょうか。

中国不動産危機、碧桂園の次はどこか-ジャンク級の社債が年初来安値
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-08-15/RZEW6KT0AFB401

中国不動産最大デペロッパーの碧桂園が約1兆円の赤字になる見通しを発表し、発行していた債券の利払いを期日までに執行できなかった。(2026年償還のドル建て債で1050万ドル(約15億円)、30年に償還される社債で1200万ドルの利払い) 時価総額は、18年にピークの500億ドルだったが、現在はたったの28億ドルに縮小。

私が10年以上前に中国を旅していたときも、建設中のマンションがそのまま放置され、ゴーストタウンが多くあった。それからも不動産市場は成長していたが、遂に恒大集団も米国市場で破産申請し、碧桂園も破綻の可能性がでてきた。

不動産市場全体が悪化していて、額面1ドルを当たりの時価が10セントを割り込む中国不動関連企業のドル建ての債券の数が過去最高の200本に到達し、その価格の中央値も8セントになっている。株式の取引が停止している企業も少なくない。

香港の取引所のルールでは、取引停止が18ヶ月連続続くと上場廃止になるため、

これから中国市場に警戒が必要である。

香港の海の見える邸宅、410億円で売り出し

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-08-18/RZK6N6T1UM0W01

香港の浅水湾(レパルスベイ)でベッドルームが11室ある1万8000平方フィート(約1697平方メートル)の邸宅が22億香港ドル(約410億円)で売り出されている、という報道。

昔、Louis Vitonアジア太平洋の代表の家に連れて行ってもらったことがあったが、彼の家もこの付近だった。

実業家や高級取り富裕層が住むエリアで有名。香港は世界アジアの富裕層が集まるが、土地が狭く、富裕層の住宅街は限られる。住宅価格は21年のピークから13%下落。

中国市場だけでなく、香港市場にも影響しているのか。日本でも東京元麻布付近の坪1,000万円以上もする住宅が売れていたりする一方で米ブラックストーンが日本の不動産について、「いい資産があればなんでも買う」と言及するなど、購入する人と、売却する人の二極化が始まっている。

ローンはジャンク債上回るデフォルト率-金利上昇の影響が顕著

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-08-17/RZIK60T0G1KW01

モルガンスタンレーの分析によると、米国の格付けの低い企業が銀行から借りているローン(融資)のデフォルト率が4%に達しているという。理由は、インフレ抑制のための金利引き上げ。

また、上記の記事には書いていないが、米国のクレジットカード残高は、過去最高の1兆ドルに到達している。アメックスも、カード会員のローンの貸し倒れや遅延が増加することを予測。

正味貸倒引当金も前年同期比で1%上昇していて、同社が保有する会員のローンの約2.6%予備金47億ドルを備え、準備。

現在米国は失業率は低下しているが、サブプライムローン問題と同じで、低所得者や学生ローンなどを多く抱えている人の支払いが滞った場合、一気に景気減速することが予想できる。

日本の消費者物価指数(生鮮食品やエネルギー)も4.3%と上昇し、都心で定食を食べると1,300円以上はするため、本当に高くなったと感じる。ビックマックの価格も上がっていることから、今後インフレ抑制で金利もあがっていくと、日本も米国を追いかけるようになる。

4.経営コラム/IPO55社の株価

前のコラムでは、ナスダックに上場した会社の株価が1/4になっていることについて書きました。

そこで、このコラムでは、今年日本の市場に上場した55社について、調べてみたいと思います。

結論からいうと、IPO銘柄55社のうち、初値よりも現在の株価が高い会社はたった25%の14社。つまり、残り75%の41社の株価は下落していました。

昨今の環境において、経営者としては、上場後の経営がいかに難しいか、を考えさせられる結果ですね。もちろん上場直後のデータなので、中長期的にはわかりませんが、投資家としても、IPO銘柄の選択は慎重になる必要があると、感じさせられました。

【ポイント】

・IPO銘柄55社のIPO始値対直近終値変化率の中央値は-29%

・55社の現在の時価総額の中央値は約86億円、従業員数中央値は194人、売上中央値40.6億円、営業利益は4.12億円

・一番上昇している会社は、Arcetで208%上昇。建設デジタル・トランスフォーメーションSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)を提供

・一番下落している会社は、モンスターラボホールディングスで-69%。情報技術サービスを提供していて、デジタルトランスフォーメーション推進支援、ユーザーインターフェースデザイン等のサービスを展開

【業種別のIPO始値対直近終値変化率の中央値】

4業種(科学、機械、銀行、卸売り)の会社の中央値のみ上昇しています。

IPO会社55社のうちIT(情報技術)は23社の44%も占めていますが、中央値は-34%と下落しています。

上場時の時価総額が1,000億円を超えている企業は、たったの3社でした。

楽天(約3,200億)、住信SBI銀行(約1,800億)、シーユーシー(1,300億) 。シーユーシーは、2014年に設立、居宅訪問介護や医療機関支援、ワクチン接種支援などを手掛けていますが、新規ビジネスへの投資を加速させており、株価が少し低迷しています。 55社のうち30社の上場時の時価総額は100億円以下なので、比較的小ぶりな上場が多いです。

オファリングサイズ(売出と新規株式発行額)が10億円以下の企業も多く、そこまでダイナミックな投資ができる金額ではないですね。

企業は新しく調達したお金を活用して、人材採用、研究開発、設備投資、M&A等を手掛けていきますが、額があまりにも小さいとできることも限られます。

ちなみに、話は変わりますが、
アップルも1980年に上場してからの25年間は、
鳴かず飛ばずの株価でした。

経営者としては、最初はしんどい期間があっても、
柔軟に変化を繰り返して、ビジネスを展開していくことが大切であり、

投資家としては、AppleがIpodやiphoneを出した時のような人々が感動したタイミングを見計らって、投資をするのもいいかもしれません。

私自身、Iphoneが発売された2007年には真っ先にiphoneを購入しましたが、

あのとき株も買っていたらと…..たらればの話ですが。

(出所:Bloomberg)

急成長する会社は、
会社名よりも、サービスやサービス名が
先に世の中に広がっているかもしれませんね。

「あ、あのサービスいいよね! 
あの会社が運営していたんだ」

のように。

今週もよろしくお願いします。

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