メルマガ: 84th 「バフェットの次なる一手:半導体投資の可能性を探る」
【目次】
1.今週の一言/ワインにふれて
2. モノリスの活動日記/
3.金融コラム/素人でもわかるウォーレンバフェット
4.経営コラム/バフェットの次の投資銘柄は?半導体?
1. 今週の一言/ワインにふれて
こんにちは。門垣です。
先週は、ワイン関連のお仕事で、
イギリスで17世紀から続く老舗酒屋の
ベリーブラザーズ&ラッドのセラーを
知る機会がありました。
ワインは目的でありながら、手段でもあり、
ワインという歴史的なお酒を通して、
人と人の交流を深め、感性と時間共有する。
そんな場所を提供する
酒屋の姿に感動しました。
日本でもこんなセラー交流場が
広がるといいなぁーと感じた1週間でした。
2. モノリスの活動日記/マネーコンパス社の運用哲学
「マネーコンパス社の運用スタイルは何ですか?」
と、よくご質問をいただきます。
わたしたちは、3つのポイントでスタイルを表現しています。
◆ 短期目線ではなく、長期目線
クライアントのゴール(目標)を達成させる為、
長期的な視点を持ち適切なポートフォリオの構築を行います。
◆ 負けない投資
多くの投資家はリスクを取りすぎてマーケット下落時に身動きが取れなくなってしまいます。マネーコンパスは最悪の事態に備えたポートフォリオを構築し、
下落時には積極的な投資を助言致します。
◆ キャッシュフロー重視
キャピタルゲインよりもインカムゲインを重要視します。
なぜなら、インカムゲインは再現性があるからです。
マーケットに応じたインカムゲインの獲得を目指します。
3. 金融コラム/だれでもわかるウォーレンバフェット
1930年生まれの、92歳のウォーレンバフェット。
投資歴は50年以上で、フォーブスによると
総資産は日本円にして約16兆円。
投資で財を築いた、
誰もが認める投資の神様です。
バフェット氏は株式投資で有名ですが、
債券も多く保有しています。
バフェットが投資をしている
62銘柄の株式の特長を、
S&P指数と比較して、ズバリ簡単に説明すると
・大型株
時価総額が大きい銘柄
・クオリティが高い
ROE/ROA等の収益性、
レバレッジ(財務レバレッジ)、
変動性(売上、利益、キャッシュフロー)
が最適化されている銘柄
・割安
PSR株価販売倍率、
PBR株価純資産倍率、
PCFR株価キャッシュフロー倍率等
・低ボラティリティ(変動が小さい)
です。
つまり、時価総額が大きく、
収益率や財務が安定しているが、
市場から割安として評価されている、
比較的日々の値動きが小さい銘柄です。
下記は、機関投資家が活用する
株式の特性を分析する機能です。

(出所:Blomberg)
現在、株式においては、米国、日本、
英国、ブラジルの企業
62社に投資をしています。
日本株については、ご存知のように、
三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、
丸紅、住友商事、の商社です。
商社が好きというよりかは、
上記の条件に当てはまっているのが
商社だった、ということですね。

(Bloombergデータよりモノリス作成)
5月6日に米ネブラスカ州オマハで開かれた
バフェット氏率いるバークシャーハサウェイの
年次総会では、
「日本での投資は完了していない。
これからも投資先を探していく」
と発表しました。
日本には、先ほどの条件である、
時価総額が大きく、財務や収益性が良いが、
市場から評価されていない
成長著しい企業がまだまだ
眠っているということでしょう。
商社の業種は、商社・流通業に分類されますが、
ビジネス範囲は多岐に渡ります。
一般的には、株価を分析するときは、
同業種を対象にしますが、
先ほどの商社の数値を軸に、業種関係なく、
類似銘柄を探してみました。
まずは、以下の条件で検索。
①時価総額5,000億円以上
②ROE 15%以上
③ROA5%以上
の銘柄数は61/3988、
つまり日本の銘柄で1.5%しかありません。
業種別でみると、商社11社の次に
半導体が2番目に多い9社で
あることがわかりました。

バフェット氏は、台湾の半導体製造会社
TSMC株を保有していましたが、
直近の報告書によると全て売却しています。
地政学リスクから売却したと言われています。
また、台湾よりも日本に資産を分配する方が
良いと発言しています。
もしかしたら、次は日本の半導体関連会社に
投資する可能性があるかもしれません。
さて、以下は条件にあてはまる
半導体関連会社の9社です。

半導体はホットなテーマです。
商社と比較すると、
ROEやROAなどの収益性は高いが、
財務レバレッジは控えめ。
一方で、PSR(株価売上高倍率)、
PCFR(株価キャッシュフロー倍率)は比較的高く、
株価の変動度合を示すボラティリティの
中央値も40%と高いです。
次のコラムでは、上記の半導体業種の中でも、
比較的PSRやPCFRの評価が低い
SUMCOについて調べてみます。
4.経営コラム/バフェットの次の投資銘柄は?半導体?
SUMCO(サムコ)は、
東証プライムに上場する
半導体用シリコンウェーハの
製造と販売を手掛ける企業です。
シリコンウェーハを普段目に
することはありませんが、
下記の図にあるように
半導体チップの土台になります。
PC、スマホ、自動車、ゲーム、
ロボット、家電など、
あらゆる製品に活用されています。

(Bloombergデータよりモノリス作成)
1937年に大阪特殊製鉄所として始まりました。
複数の吸収合併や営業権譲渡を経て、
2005年に商号変更をSUMCOに変更しています。
時価総額は6月16日時点で、
約7,300億円。
株主のほとんどが
機関投資家や金融機関です。

社長は、橋本 眞幸氏。
三菱マテリアルでシリコン事業に携わり、
2016年から代表取締役会長CEOを勤めています。
オーナー企業と比較して、
力強さや勢いには欠けると思いますが、
業界に精通しており、
盤石で安定的な経営をしている
のではないかと予想できます。
直近12ヶ月売上高は4,500億円(前年比成長率25%)
売上総利益率は32%(前年比成長率36%)、
営業利益率は25%(前年比成長率61%)と、
収益性が高く、圧倒的な成長を遂げています。
販売先や価格の増加、為替の影響が考えられます。
次に、サプライチェーンを確認。
売上の50%が大手6社の販売先で成り立っています。
海外売上高比率も80%。
(20%は住友商事、11%サムスン、
5%はTSMCやSKハイニックス、3.56%インテル)

従業員1人当たりの売上高は、
4,800万円と同業の信越8,300万円と比較して、
低い為、まだまだ伸びしろがあると言えます。
来年以降は、データセンター、5Gスマホ、
車向けの市場拡大により、
さらなる拡大が見込まれます。
一方で、大手から契約価格を交渉された場合、
下請けの立場として、
なかなかコントロールができません。
売上も変動する可能性があります。
さらに、バフェット氏が撤退した
TSMCが拠点を構える台湾市場では、
IC(集積回路)の輸出額が前年比-8%、
対中国向けは-14%も減少。
工場稼働率も低下傾向にあります。
これは、民生用や産業用機械の需要が
減少しているからです。
つまり株価が市場から評価される要因が
あるとした場合、
以下の5点がポイントになります。
・半導体需要の増加と価格の値上げ
・販売先の増加
・円安
・製造オペレーションの改善
・エネルギーや原料価格の下落
シリコンウェハは、ケイ素が含まれる石、
珪石から製造されます。
この珪石をアーク炉でシリコン金属に
変えるみたいですが、
この際に電気代がかかるようです。
また、最近のニュースとしては、
国内製造拠点は7箇所ありますが、
今月8日に佐賀県吉野ヶ里町で新工場の
建設を発表しました。
土地代は60億円を投資して、
市場拡大に対応できる準備を整えるとのことです。
最後に証券会社のアナリスト評価。
Bloombergによると、
20人のアナリストが対象会社を評価をしています。
20人アナリストが計算した
年末までの目標株価の平均値は……..
今週もよろしくお願いします。