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メルマガ: 179th 「Nature and Nurture 先天的と後天的なもの」

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【目次】

1. 今週の一言/モノリスの活動日記


    1. 今週の一言/モノリスの活動日記

    こんにちは。門垣です。

    先週は、仕事で福岡へ訪問。

    とある金融関係者と話をしていた中で、「福岡をもっと盛り上げたい」という話になり、その流れで福岡証券取引所の話題になりました。九州は、地元企業や行政による経済発信は活発に行われていたり、老舗の未上場豪族企業が多くある一方で、資本市場について語られる機会はまだ少ない──そんな印象を持ちました。

    確かに、福岡は空港や港が市街地のすぐそばにあり、アジアにも近く、都市としての機能もコンパクト。食や観光だけでなく、産業・暮らしの両面でバランスの取れた街です。

    この九州エリアの企業や資本市場が、今どのような構造になっているのかをざっと調べてみました。

    福岡証券取引所には現在、122社が上場しています。そのうち、東京証券取引所と重複していないのは28社。合計の時価総額は約1,830億円で、平均は約68億円です。

    業種としては地銀、建設、不動産、小売、食品で地域密着型の企業が多く、ROEの平均は4.7%。PERやPBRのバリュエーションも相対的に低く、割安なまま放置されている印象があります。

    また、海外売上高比率が1%以上の企業は3社──丸東産業(16.4%)、昭和鉄工(8.8%)、TRUCK-ONE(4.4%)にとどまり、本当に地域に根ざした企業群というイメージですね。

    時価総額の大きい企業トップ5は下記の通りです。

    ① ジョイフル(9942|時価総額347億円)

    九州発のファミリーレストランチェーン。全国展開しており、ステーキやハンバーグが主力。
    売上 約660億円、純利益 約33億円、ROE 10%、営業利益率 約6%。
    有利子負債123億円はやや多めですが、利益で十分カバーできています。

    ② 第一交通産業(9035|時価総額294億円)

    タクシー、不動産、自動車販売を手がける多角経営企業。
    売上 約1,000億円、純利益 約9億円、ROE 0.6%、営業利益率 約3%。
    借入金が約1,139億円と大きく、財務負担はやや重め。

    ③ アメイズ(6076|時価総額206億円)

    「亀の井ホテル」などを展開するホテル運営会社。
    売上 約180億円、純利益 約22億円、営業利益率 約21%。
    自己資本比率も高く、効率的な経営モデルが特徴です。

    ④ RKB毎日ホールディングス(9407|時価総額106億円)

    九州を地盤とするテレビ・ラジオ局。不動産やソフト開発も手がけています。
    売上 約240億円、純利益 約7億円、ROE 14.6%。
    放送事業以外にも収益源を持ち、安定した経営体制です。

    ⑤ Misumi(7441|時価総額105億円)

    エネルギー(ガソリン・LPG)とメディア小売を行う複合型企業。
    売上 約610億円、純利益 約7億円、ROE 10%、営業利益率 約1.3%。
    事業の幅が広く、安定重視の経営が見て取れます。

    この3年間で最も株式のトータルリターンが高かったのは昭和鉄工で、+31.5%のリターンを記録。

    創業140年の空調機器メーカーで、熱源機器、環境製品、熱処理炉機器などを製造しています。時価総額は約35億円、ROEは16.7%、売上は135億円、営業利益率は4.9%。

    もともとは「斎藤製作所」という社名で、発電機や電話機の部品、注射器など医療機器の製作技術をもとに、現在の熱源・空調・素材事業へと発展。長い歴史と技術蓄積を強みに、着実に企業価値を高めてきた企業みたいです。地元民ではないため一次情報もわからず、ネットであまり情報が出てこないので大した情報が書けないのですが、東証のように福証が企業にメスをいれたり、次世代の経営者が上場すると、株主への対応も意識して、注目を浴びるのではないかとおもいました。

    そして、福岡をあとにして、ゴールデンウィークということもあり、デジタルデトックスを兼ねて軽めのキャンプに行ってきました。

    今回は、サウナとキャンプが融合した自然体験型の施設【Daichi Silent River】。

    (サウナの写真を撮り忘れたので、ウェブサイトより抜粋)

    施設や照明も最小限。石でつくったかまどに薪をくべて焚火を囲みながら、同級生の経営者仲間とゆっくり話す時間が取れました。

    仕事や人生観の話をしながら、なぜこの仕事をしているのか、このライフスタイルを歩んでいるのか、という問いにぶつかったのですが、

    その中でふと浮かんできたのが、「Nature and Nurture(生まれと育ち)」という言葉でした。

    Natureは、生まれ持った遺伝、性質や環境。

    Nurtureは、育った家庭や経験、教育などの後天的な影響。

    人や企業、地域に至るまで、この2つの組み合わせで今の姿がかたちづくられていると思います。

    たとえば福岡という街には、アジアに近いという地理的条件から、貿易・重工業の歴史といったNatureがある。

    そして、エネルギー革命をきっかけに、産業が衰退し、進化するために行政の新しい産業支援、最近ではスタートアップとの誘致などのNurtureが積み重なって、現在の経済構造ができています。

    自分自身も、ルーツを遡ると家系には商売人、教育者、家老、金融、アーティストがいて、そういった背景(Nature)と、特に自分の代から強くなった海外経験(Nurture)が重なって、今の働き方や事業に至っていると感じます。

    自然の中で火を見つめながら、普段なかなかできない話をし、思考が深まっていく──
    そんな時間を過ごせた、静かで有意義な一週間でした。

    今週もよろしくお願いします。

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