ポッドキャストはこちら

メルマガ: 173th 「これからの世界/日本食パワー/外国人が経営か」

メルマガ

【目次】

1. 今週の一言/モノリスの活動日記/日本食


1. 今週の一言/モノリスの活動日記/日本食

こんにちは。門垣です。

最近は、どんな経営者と会って話しても、
採用に悩んでいることを耳にします。

日本では女性やシニアの就業が進み、労働人口は少し増えていますが、少子高齢化の影響で34歳以下の労働人口はどんどん減っているようです。

シニア層の活用が進んでも、2040年以降には労働人口全体が大きく減少すると言われているので、長期的には経済、消費市場も縮小していくのでしょう。

その影響もあってか、ここぞとばかりに海外の投資家が日本市場に資本を投じる動きが活発になってきています。日本国内の外国人労働者数も、2023年では、204万人であり、就業者数全体の割合のうち、2017年は2%だったのが、今は3%にまで上昇しています。

一方、日本企業も負けじと海外へ進出する流れが加速しているように感じており、弊社にも海外進出支援のご相談もいただくようになってきました。

日本がグローバルでプレゼンスを高められる得意な分野といえば、製造業や部品産業、アニメやIPコンテンツ、そして日本食。

個人的には、日本食はまだまだ可能性があると思っています。何を食べても美味しいですし、新鮮ですし、衛生面での安心感もあります。日本人だからそう思うのでは、という意見もありますが、意外と海外の人も同じように思っているようです。

昨年末、フランスを訪れた際、どうしても和食が食べたくなり、会食後に一人でうどん屋へ行きました。お店の名前は「KAMIKIRI HAKATA UDON」。

夜も遅かったのですが、店内は賑わっていて、多くの人が居酒屋感覚でうどんを食べながらお酒を飲んでいました。パリの中心街にありながら、日本の雰囲気がそのまま残っていて、味もとても美味しかったのを覚えています。

牛肉うどんは18€でしたが…約3,000円。ジリ貧を感じますね…..。

さて、うどんに限らず、ラーメンや居酒屋業態も世界中で広がっています。

ただ、海外で日本食ビジネスを成功させるのはもちろん簡単ではなく、関税や輸出規制、食材の調達、人材マネジメントなど、解決しなければならない課題が多いです。

実際、海外でラーメン事業を展開している日本企業はありますが、たとえば上場企業の場合、タイやベトナムで約170店舗を展開する「8番らーめん」のハチバン、東南アジアを中心に展開する「幸楽苑ホールディングス」、そして世界15カ国・約290店舗を展開する「一風堂」の力の源ホールディングスなどが代表的ですが、前述した課題と戦いながら、日本食の素晴らしさを世界に広めていますが、成長率は限定的ですね。

店舗運営だけでなく、不動産戦略、食材調達、メニュー開発、マーケティング、人材マネジメントなど、パートナー選びなど、経営に必要なすべての要素が求められるので、本当に一筋縄でいかないですね。

その割に、営業利益率は数パーセント、多くても5〜6%程度。規模や工数の割にリターンが大きくないのも特徴です。

とはいえ、人生に必要不可欠な衣食住の大切なインフラであり、飲食業ならではの魅力もあります。お客様の反応が直接伝わり、笑顔やフィードバックをその場で感じられるのは、この業界ならではの良さなので、日本企業には頑張っていただきたい。

スマホゲームをつくって売上を上げるよりも、飲食のような生活インフラのほうがよっぽど社会的に重要だとも思います。

そんな中、昨年末にスイスを訪れた際、世界的な高級日本食レストラン「ZUMA」の経営に関わるとある海外企業の経営者と話す機会がありました。

彼は、「これからの時代、世界の人々はより体験を求めるようになり、ラグジュアリーなフードビジネスがさらに成長していく」と言っていました。

ZUMAは、一店舗あたり年間20億円の売上を誇る高級日本食レストランです。ドイツ人のシェフがロンドンで日本食レストランを始め、現在は世界の主要都市で展開しています。

https://www.zumarestaurant.com/en

zuma ドバイ

Zumaは世界の企業を連携しながら、グローバル展開を行っており、私が話をした会社は巨大なコングロマリット企業を経営しており、その中の一つがzumaとの協業ですが、長年にわたりさまざまな事業を手がけた結果、今後はさらにこの市場に注力していくようです。

話を聞きながら改めて思ったのは、日本人が経営する日本食レストランよりも、外国人が経営する店舗のほうが今後グローバルでプレゼンスを確立していくのではないか、ということです。ブランディングや見せ方もしっかりとしていて、いわゆるなんちゃって日本食だけではなく、日本人シェフも雇用しており、利益もしっかりとでているようです。

ラーメン店と比べると、お寿司やの高級居酒屋のほうが単価が高く、利益率は高く設定できますが、こうした企業もラグジュアリー業態だけに頼るのではなく、景気に左右されないように、ポートフォリオを分散させて同じ飲食の中で比較的リーズナブルなお店も経営しながら、リスクをヘッジしているそうです。

その中で、日本食のイメージを聞いてみると、【日本は圧倒的に魚の質が良い】と言っていました。

この分野に関しては、日本企業ではくら寿司が米国で上場しており、昨年時点で63店舗へまで拡大しています。昨年通期の一店舗あたりの平均売上高が420万ドル(約6.3億円)であり、米国全体の売上は2億3,790万ドル(約357億円)、純損失は1,150万ドル(約17.3億円)でした。

今年も年間成長率20%以上を維持していくために、新規で14店舗をオープンさせる予定

みたいですが、人件費やコストが増加していることから、利益をしっかりとだしていくことが課題になりそうです。

世界の人が経営するラグジュアリーな日本食レストランよりも、

日本人が経営する世界にある日本らしい和食レストランをみていきたいですね。

今週もよろしくお願いします。

YOU MAY ALSO LIKE