メルマガ: 172th 「社会活動/居場所がない若者のモラルハザード」
【目次】
1. 今週の一言/社会活動
1. 今週の一言/社会活動
こんにちは。門垣です。
先週、仕事の延長で、生活に困っている若者(15~25歳)を支援するNPO法人を訪問しました。
日本には、家庭や職場に居場所がないとされる若者が推計22万人もいるといわれており、彼らに対する公的・民間の支援が十分でない状況です。
このような状況に陥る背景は一人ひとり異なると思いますが、話を聞く中で共通して感じたのは、家庭環境の影響の大きさです。幼少期から虐待を受けていたり、親から生活のサポートを得られなかったり、過度な教育や厳しい管理のもとで自由を奪われるような環境に置かれていたりすることが多いようです。
その結果、人の目を極端に気にするようになったり、行動への意欲を失ったりして、最終的に社会との関わりを持てなくなるケースが少なくありません。
そして家出をする若者も多く、生活のために仕事を求め、東京へ向かう人が多いといいます。いまでこそトー横キッズが有名ですが、以前からこのような問題が起きているようです。
しかし、いざ仕事を始めても、人間関係がうまくいかずに続けられなかったり、新しい仕事を探そうとしてもなかなか見つからなかったりすることが課題です。
さらに、地元を離れたことで頼れる大人もおらず、最終的にお金が尽き、ネットカフェや路上で生活するようになり、やむを得ず詐欺や違法な仕事に手を出してしまう人もいるとのことです。また、わざと警察に捕まり、食事や寝る場所を確保した人もいました。
今回訪問したNPO法人では、このような若者に対し、住居や居場所の提供、さらに仕事や趣味の場を共創する取り組みを行っていました。
素晴らしい活動だと感じる一方で、気になったのは、モラルハザードの可能性です。
このNPO法人が提供する環境が快適であるがゆえに、生活保護に依存し、仕事への意欲を失ってしまう人も少なくないようです。アルバイトをしない人も多く、基本的には3年ほどでコミュニティを離れるものの、再び戻ってきたり、5年~10年以上も働かないままの人もいるとのことでした。
NPOへの寄付をするスポンサー企業、あるいはモノリスのお客様のような個人富裕層がいることでこのような支援が成り立っている半面、よりよい循環を作るのは簡単ではないと感じました。
もちろん、仕事が全てではなく、無理に働く必要はないという考えもあります。
ただ、もし支援が突然打ち切られた場合、頼る大人がいなくなり、再び元の生活に戻ってしまう可能性が高いのではないかと思います。
そういった意味では、個人的には、単に支援を提供するのではなく、自立に向けた仕組み作りが重要だと強く感じました。大手企業がこのような団体の支援をするケースもあるみたいですが、一過性に過ぎず、企業のCSRのアピール要素もあるようです。
本質的には、社会の仕組みやお金の教育を行い、それぞれの興味に応じた仕事のスキルを身につける機会を提供することが必要なのではないかと。
ただし、これを強制すると逆効果になりかねないため、時間をかけて少しずつ自立を促す流れを作ることが大切だと感じました。
もちろん、ネガティブな話だけではなく、社会復帰を果たし、活躍している人も多くいるみたいです。
若者ができることが増え、社会に必要とされる瞬間を実感できると、それが自信となり、大きく自立、成長していくのではないかと思います。
結局のところ、彼らが求めているのは自信なのかもしれません。
最後に気になったのは、同じような環境で育った人でも、わりと最初から生きる意欲やお金を稼ぐ意欲が強く、成功を収める人もいるという点です。
中には、たたき上げで大富豪になった人もいるでしょう。
前職では採用の際に、「ハーバード大学を卒業した学生よりも、親が薬に手を付けてしまい、ろくに仕事もしない環境で育ったハングリーな人を採用しろ」ともアドバイスを受けたことがあります。
この違いはどこから生まれるのか—
を考えさせられた一週間でした。
今週もよろしくお願いします。