メルマガ: 138th 「番外編シンガポール出張/海外ファミリーオフィス」
【目次】
1.今週の一言/モノリスの活動日記
1. 今週の一言&モノリス活動日記/シンガポールへ
こんにちは。門垣です。
これを書いている日曜日は、
シンガポール出張帰りの空港。

来年からの新しいプロジェクトに向けて、
-外国人個人富裕層
-SFO(1つのファミリーの資産を管理する会社)
-MFO(複数のファミリーの資産を管理する会社)
-機関投資家、その他関係者と面談、
1週間ほど滞在してきました。
今回お会いした会社は、
USD 100 million ~ 2 billion の資産を運用。
まだプロジェクトの詳細はお伝えできませんが、
沢山の気づきがありました。
海外投資家が、【Japan】というキーワードが脳裏に浮かんだ際に、【Monolith】へ連絡しよう。
となるような会社を目指したい。
と考えています。
ウェブサイトも日本語だけでなく、英語版も作成済み。

①ファミリーオフィスの運用
会社や富裕層によってリターンへの期待度は異なるが、平均的には10%前後のリターンを常に求めている。ファミリーオフィスは基本的に債券がメイン。しかしながら、ポートフォリオを分散させるために、株やオルタナディブ資産の割合を増やしている。
特に今年は選挙年。運用担当者にとっても勝負の年。これから各資産の割合を変更する模様。
またインドでスタートアップを成功させて1,000億円以上の資産を築いた方のファミリーオフィスにも訪問した。自分自身がスタートアップ経営者ということもあり、未上場株への投資が多いとのことだった。世界的にはAIやテクノロジーが潮流であるが、
金融アプリで富を築いた元トレーダー、今度はクオンツVCで目指す
の記事にもあるように投資判断を行う際にもAIを使うファンドも出現している。AIやその他関連業界の抑えることは必須になるだろう。
富裕層の社交場 THE TANGLIN CLUB

②日本株への投資
ほとんどのファミリーオフィス会社は日本市場に興味があるが、現段階では日本株にはあまり投資をしていない。運用担当者は金融プロフェッショナルなのでマーケットは理解している。
関心もあるが、さらに踏み込んでいくためには、専門家が必要だとのこと。日本株に投資をしていても指数関連のETFを少しだけしているみたいだが、個別銘柄に関しては米国株式が多い模様。
基本的には、ポートフォリオマネージャーやアナリストを抱え、リサーチはプライベートバンクや証券会社、ブルームバーグ等の情報を通じて分析。
これらのファミリーオフィスが日本株へ投資するようになれば、外国人保有率はさらに上昇するだろう。まだまだ知られていないだけで、日本企業の知名度が上がり、周知されれば、かなりポテンシャルがある。言い換えれば、日本のIRやブランディングが弱いことも再認識できた。
また弊社と同様に、コーポレートアドバイリー部門を設けて、M&A、ファイナンス、コンサルティング支援を行っていることが多い。改めて、このビジネスモデルはグローバルスタンダードだと認識できた。
③機関投資家の日本株への投資
機関投資家は、常に日本株へ投資をしている。
ヘッジファンドやその他ファンドを通じて投資。彼らは洗練されているため、常に日本からのリターンを狙っている。ファンドの種類も数多くあるため、戦略の精査に力を入れる。ファンダメンタル(財務分析)、クオンツやアルゴリズム等の運用手法、アルファの源泉がどこにあるのか(リターンを得るための情報や分析)、リスクの取り方等、当たり前ではあるが、この辺りを精密に分析し、誰を通じて運用するか意思決定をしている。
また、機関投資家ではないが、スイスの富裕層のお金を管理するファミリーオフィスとも面談した。彼らは常に日本株の運用担当者を探してるみたいだ。厳密には、スイスにいるファミリーのためにアジア株の優秀なファンドマネージャーを探す専門家(機関投資家の業界ではキャップイントロと呼ばれている)だ。彼らが富裕層に金融の教育をしているため、ファイナンスリテラシーが高く、ヘッジファンド等の様々な運用商品を検討できるのであろう。
④その他日本へのエクスポージャー
ほとんどの方が日本のことが好きであり、不動産や観光にはとても興味がある。円安もあり、これからますます需要が増えそう。先日、モノリス不動産アプリをローンチしたが、英語版も作成している。このアプリのニーズも高まってくるだろう。将来的にはレストランなども入れていきたい。
https://monolithproperty.glide.page/dl/d0a5f4

⑤デジタルアセット
これからますますデジタルアセットが普及してくるだろう。暗号通貨のETF、暗号通貨を担保としたローンの貸出、また実物資産、例えばワイン、高級時計、車、ホテル等がNFTやデジタル資産として普及し、富裕層のポートフォリオの一部部分になってくる。例えば、今月末くらいには五大シャトーのシャトーラトゥールのデジタル資産がローンチされる。また、デジタル資産を保有する信託、管理会社など、市場は大きくなってくるだろう。
⑥厳しいシンガポール金融庁
今年から、本当にシンガポールのMAS(金融管理局)がファミリーオフィスや金融機関へのコンプライアンスに対して厳しくなってきた。ファミリーオフィスを設立するのも、運用ライセンスを獲得するのも、口座開設も、かなり厳しくなっている。
大きなマネロンが原因の一つであるが、ニュースや噂だけではなく、現地の人も露骨にダメージを受けている。例えば運用するための免許取得期間が6-8ヶ月だったのが、1.5年以上もかかっている。したがって、今後は中東や香港へ行く人たちが増えると思う。

一方で、地政学リスクもあるため、シンガポールでどのようなスキームを構築するのかが鍵になる。昨年から新しいVISAなども発効されており、常に最新の情報を入手することが大事だと痛感した。
こちらのメルマガは日本の方を対象としているが、
今後は外国人向けに、内容を変えて、英語で日本について発信をしていきたい。
今週もよろしくお願いします。