メルマガ: 117th 「S&P過去最高値 アジアのプライベートバンク/日本企業業績予想を修正」
【目次】
1.今週の一言/どんな会社
2. モノリスの活動日記/米S&P過去最高値へ、日本はいつも通り
3.さくっと先週のマーケット/アジア富裕層の資産6割増加、富裕層VS国税
4.金融コラム/日本の上場企業、自社業績予想を修正した会社
1. 今週の一言/どんな会社
こんにちは。門垣です。
最近は業界とは関係のない色々な場所に
顔を出す機会が増えているのですが
「どんな会社をしているんですか」とよく聞かれます。
どれがしっくりくるか確認するため、
毎回、言い方を変えています。
「金融関係」
「富裕層向けの金融サービス会社」
「運用助言会社」
「富裕層や経営者向けの金融とコンサルティングの会社」
「富裕層向けプラットフォーム」
など。
業界ではない人や、仕事と関係ない人には、
あっさりと答えているのですが、
「金融なんですね」や「コンサルティングなんですね」
とひとくくりにされます。
補足で2-3文説明すると、
具体的に理解してもらえるのですが、
そこまでする必要ない場合も多いですし、
一般的には、金融=やらしい、金金金、
など印象があるみたい。
まぁそうっちゃそうなんですが、
悪いわけでもないのですが
「そんなやらしい不透明な金融業界を変えるために、やってるんだ!」
と思ってきました。
誰にでもわかりやすい、ほかの金融会社とは違う、
シンプルな一言を考えなければ
と思った一週間でした。
2. さくっと先週のマーケット/ 米S&P過去最高値へ、日本はいつも通り
先週は、米S&P指数の終値が過去最高値の5000を超え、前週対比では1.37%上昇した。S&Pの構成銘柄の10-12月決算において、2/3が発表を終えているが、約80%が予想値を超える業績となり、経済が回復していることを示した。また、ソフトバンクグループ傘下の英半導体アームの株価は前日比で48%上昇、ソフトバンク株も+23,76%上昇。厳しい冬の時代の終焉を迎えた日本を代表する経営者の孫さんに拍手。日本では日銀の副総裁内田氏が、マイナス金利解除後の金融政策運営について、欧米と比較して予想インフレ率が2%付近で定着していない状況を踏まえ、連続的な金利引き上げは考えていないことを明確に。下記の図にあるように、日銀チームはハト派が多いため、当分の間は、度肝を抜かれるような、驚くような政策はでてこないであろう。

(出所:Bloomberg)

(Bloombergよりモノリス集計)
3.富裕層の公然の秘密/アジア富裕層の資産6割増加、富裕層VS国税
アジア富裕層オフィス「投資目的、7割が生活習慣維持」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFL081VS0Y4A200C2000000
アジアの富裕層ファミリーオフィスの総資産運用残高が2022年に前年よりも、
6割増えたとの調査がある、との報道。記事は、シンガポールのロンバー・オディエを取り上げている。タイ、インドネシア、台湾、中国、シンガポール、香港、日本の顧客を持っており、目標に従った投資(Goal Based Investment) を掲げ、投資のタイムラインを決めながら運用ポートフォリオを設計している。
また、富裕層の要望の中で多いものとして、運用することで、生活習慣を変えない、現状維持することがあげられる。富裕層は年間の出費が多くあるため、最低限運用で賄う必要があるということだ。年間の金利収入だけで数億円は欲しいという人は多くいる。また、シンガポールには20以上のプライベートバンクがあるが、銀行によって特徴や条件が異なるため、適切なプライベートバンク選びをなくしては、運用での目標達成ができない。各種手数料はもちろんのこと、運用商品、各社の付加価値サービスを調べつくすことが目標達成のための第一歩だ。
例 シンガポールのプライベートバンク一覧(一部)
・BOS
・UOB
・DBS
・HSBC
・Standard Chartered
・CIMB
・IFast
・Saxo Bank
・JP Morgan
・Morgan Stanely
・Goldman Sachs
・Citi
・UBS
・Barclays
・LGT
・Julius Bear
・Bordie & Cie
・J Safra Sarasin
・EFG
・Pictet
富裕層の相続節税に厳しい目 国税当局「宝刀」活用増
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC1125X0R10C24A1000000
21年事務年度までの10年間で、総則6項の適用は計9件のみだったが、
22年は6件もあり、急増したとの報道。総則6項は、著しく不当と認められる財産の価額の場合、通常の財産評価手法とは別の手法でやり直すことができるものだ。
記事にもあるが、相続税は、相続した財産の総額に税率をかけて計算するが、時価で評価される。つまり、富裕層はあらゆるスキームを使ってこの時価を下げ、納税額を低く算出しようとするが、国税はこの6項を活発に適用し、阻止しようとしている。職業柄、モノリスは数多くの税理士さんと仕事をしている。
大きく分類すると、攻めの税理士と守りの税理士の2種類に分かれる。攻めの税理士さんに共通しているのは、過去の判例と法律を読み込んでいることだ。
日本語は曖昧なため、法律にはっきりと「ダメ」と書いてあることはほぼない。その点を調べつくし、クライアントにとって最適な解決策を提供している。
富裕層の高齢化が進むにつれて、同様の国税との相続案件がでてくると思うが、
事前の準備、適切な対策、優秀な税理士やコンサルタントをつけることが、勝負の分かれ道になるだろう。
4.金融コラム/日本の上場企業、自社予想を修正した会社
米国の決算がすこぶる良い状況が続いていますが、
日本企業はどうでしょうか。
第三四半期(10-12月)の決算発表は佳境を迎えます。
日本企業の特徴として、自社の決算発表と同時に、
通期の業績予想値を
修正する企業も多くあります。
そこで、今期、通期予想を修正した会社を調べたところ、
651社ありました。上場企業が4,000社あるため、約16%になります。
業種別では、機械と電気装置がそれぞれ45社ずつありました。
3番目に多かった業種は自動車でした。

(Bloombergデータよりモノリス集計)
次に、前回売上予想値と新たに発表した予想値の差が大きかった会社ベスト10を調査しました。
なんと50%は自動車メーカーでした。
堂々の一位は本田技研工業で旧通期予想18.2兆円、新しい予想値は20兆円で、
1.8兆円も引き上げています。

(Bloombergデータよりモノリス集計)
一番の要因は為替予想ですが、
本田は上期実績は141円、
下期の前提は144円で想定しています。
ちなみに、時期にもよりますがトヨタは為替1円円安になれば、400億円以上利益が変わると言われており、グローバル展開をする日本の自動車メーカーの業績に大きく影響を及ぼします。たった1円、されど1円。ビジネスはボーダレス社会が進みますが、資本市場は通貨を筆頭にいまだに境界線が多いですね。
話を本田に戻しますが、本田は
二輪事業は過去最高の営業利益と営業利益率を達成し
四輪事業は、米国の堅調な需要や日本の生産回復があり、業績は前年同期を上回っています。
本田の決算プレゼンテーション 2/8

しかしながら、8日の決算発表を受けて、9日はホンダの株価は、-1.76%下落しました。
為替変動、値上げ、原材料価格の低下により業績見通しは明るくなりましたが、
金融市場の営業利益予想1兆3026億円よりも発表値1兆2,500億円が下回ったことで、つまり期待を超えられなかったことが株価が上昇しなかった理由の一つになっています。
株価が倍になった銘柄も
一方で、電子装置・機器・機械の業種に分類される
アルメディオ社の株価は、決算発表後に倍近くになりました。
同社は、産業用機器/AV機器用光ドライブなどを販売しています。

(出所:Bloomberg)
売上予想は102億円から110億円と修正しました。
営業利益は25億円から、31億円へ。
断熱材事業でのヒータモジュールが中国で売れ、
売上が増加しているようです。
現時点で、本田には各証券会社のアナリストが24人ついています。このアナリストたちが、日々本田の業績やビジネスを分析し市場予想を立てています。
一方で、アルメディオは時価総額260億円規模の会社ですが、証券アナリストは0人です。
したがって市場での予想があまりないことから、
業績修正が入ったときに、大きく株価が変動する事象が生じてくるのでしょう。
今週も宜しくお願いします。