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メルマガ: 110th 「金融市場の行方:12月の資金動向と超富裕層の資産戦略」

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【目次】

1.今週の一言/変化

2. モノリスの活動日記/採用

3.記事にコメント/「顧客本位の預かり資産フィー」を 海外の富裕層に人気、運用助言会社 ブラックストーン 高級時計

4.金融コラム/金融市場はリスクオン 12月は資金がどこに移動している!?


1. 今週の一言/変化

こんにちは。門垣です。

時代は目まぐるしいスピードで変化しながらも、循環しているのかって思う今日この頃。

今は電話番号も、メールも、Facebookメッセンジャーも、LINEも交換しない時代みたい。

やりとりは、自分のライフスタイル写真、動画、自分を美しくみせるためにも、写真を加工してのせるInstagramが定番。

だけど、みんな加工するから、

ありのままの姿が見れなくなるから、

携帯に時間を費やしてしまうから、

次は加工ができない、1日1枚しか投稿できない

Berealというアプリで人生を共有。

そして、電話番号は交換しないけど、

位置情報を交換して、

近くにいたら落ち合う。

小学生のときに、

公園に集まった人達で、

缶蹴りをする。

そんな感覚。

テクノロジーはこれからも発達し、

変わっていくけども、

同様に人と人の繋がりを強く求める

そこは不変なのか

と思った1週間でした。

2. モノリスの活動日記/採用

引き続き、一般事務の採用活動中。

ロジックを大事にする金融業界だけれども、

人の世界においては、

1 + 1 は  3 と言ってくれるような人

をお待ちしています。

 
3.記事にコメント/「顧客本位の預かり資産フィー」を 海外の富裕層に人気、運用助言会社 ブラックストーン 高級時計

顧客本位の「預かり資産フィー」を 

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB064240W3A201C2000000

金融業界が手数料フィーから、アドバイス型フィー(助言料)に移行している、との報道。記事では、助言料も2通り考えられると言及。1つは、資産に余裕がある人においては、つまり富裕層においては、資産に連動した一定率の報酬を支払う方法。このモデルに関しては米国が最先端をいっているが、業界の平均は1%前後だ。

2つ目は、投資額の少ない、つまりマス層は助言料を支払うお金がなく、かつ購入できる商品も限られ、(例 投資信託) 保有するだけで年間1%等の手数料が大きくかかってしまうため、助言料と商品の保有料の2つの合計で計算して、総負担率を一定にする方法だ。

このモデルを設計するには、運用商品を組成する運用会社と販売会社が一体にならなければ、実現は難しいと考える。一方で、投資信託ではなく、ETF等で購入した場合は、保有料はあまりかからないので、助言フィーが課金されても、合計でみると割高にはならない。

いずれにせよ、利益相反が生じる手数料ビジネスから、顧客の資産が増加すれば金融会社の助言料も増える制度に移行していくだろう。

ただ日本は助言や情報にお金を支払う文化や感覚があまりないため、

金融機関は苦戦をするだろう。

海外の超富裕層に「トヨタや花王、人気」運用助言会社

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFL00011_R11C23A0000000

シンガポールの超富裕層の顧客を対象にしたファミリーオフィス(資産運用助言会社)の存在感が強くなっている、との報道。報道にあるシンガポールの複数の富裕層の資産を運営するWrise Groupの顧客の対象は資産45億円以上だ。(3,000万米ドル)。記事にもあるが、サービスとしては、運用も行いながら、「ファミリーオフィス向けの運用プラットフォームを提供し、スマートフォンを通じて様々な情報発信を行い、顧客がポートフォリオも見れるようにしている」という。サービス名はTREXのようだ。デジタルネイティブ世代への対応を意識している。

実はこの会社、先月11月に日本人向けのサービスを展開し始めた。責任者は、

元バンクオブシンガポール、クレディスイスの鈴木氏。アジアへの移住や世界標準での運用を望む富裕層にサービスを提供していくという。
https://fundselectorasia.com/wrise-group-creates-japan-market-team-in-singapore/

テイラースイフトにあやかれ、歌って踊るブラックストーン

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-12-15/S5OH8ST0G1KW00

世界でプライベートエクイティ(未上場株投資)を牽引している、ブラックストーン
グループの動画が配信された。お堅いイメージの金融機関がこれほど、ポップに、ロックに演出している。個人的にはこの鋳型にはまっていない感じが好きだ。

ちょうど1年前の12月12日配信の第59号 週刊モノリス「富裕層の新天地は?ゴールドマンサックス ドバイ拡大 20年ぶりの金融改革」で、この世界屈指の投資会社を創ったスティーブ・シュワルツマンの基幹ファンドであるBREIT(不動産投資信託)が、上場以来最大の試練に直面していると書いた。約17兆円のファンドが今は10兆円になり、投資家への換金を12ヵ月連続で制限している。商業用不動産に投資をしているため、富裕層が不安を覚え、解約請求をかけているからだ。

しかし、昨年のリターンは+8.4%であり、一昨年は+30%のリターンだった。

持ち前の明るさで、ピンチを乗り越えているのか。

スイス高級時計「輝かしい」ブームにお別れ-消費者心理に変化

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-12-11/S5CNR0DWRGG000

昨年スイスの高級時計の輸出額は過去最高の4兆1,300億円に達したが、

今年に入ってから、インフレと景気後退懸念で、急激に落ち込んでいる、

との報道。中古品の価格も22年4月のピーク時から42%下げている。

ブルームバーグ・サブダイヤル・ウォッチ指数(最も取引額の多い50のモデルを追跡した指数)

たしかに、コロナ禍中は、高級時計を購入している人は多かったが、

コレクターの方を除き、最近は時計の話すらでてこない。値上がりしそうなものはある程度買った、というところであろうか。

しかしながら、高級時計のSNSでの広告は増えているように感じる。LINEでも広告が出始めている。

4.金融コラム/金融市場はリスクオン 12月は資金がどこに移動している!?

先週は、FOMC(米連邦公開市場委員会)が
開催されました。

会合では、主要政策金利を2001年以来の高水準で
( 5.25%~5.0%)

据え置くことで全会一致。

来年には、複数回にわたって、
金利を引き下げる見通しが示されました。

この発表を受けて、金融市場では、

リスクオン(リスクをとって、リターンを追究しやすい状況)になりました。

下記の数字にあるように、

株式市場は上昇し、債券市場は金利が下落(価格は上昇)、ドル指数は-1.24%の下落となっています。

基本的なことですが、

金利が低下すると、

銀行からの借り入れコストが安くなり、
企業の投資や個人消費が増えます。

一方で、預金や債券等の比較的安全な資産の利回りが低くなり、

投資家はよりリスクの高い商品をもとめて、

株式等のリスク性の高い商品にお金を移動させます。

下記は、アメリカのETF4616本を対象にした資金流入/流出のトップ・ワースト5です。期間は今年の12月1日~12月15日のデータです。

資金流入トップ5は、いずれも米国S&P指数に関連した商品が占めています。

ワースト5のうち4つは、債券に関連したETF。昨今の金利低下に伴い、債券価格が上昇したことを受けて、利益を確定させた投資家が多いことがわかります。

(Bloombergデータよりモノリス集計)

このような状況になると、

一般的に人は下記のいずれかのパターンで
物事を考えます。

①金利下落に伴い、さらにリスク資産へ資産を移動

②バブル相場の始まりと考え、安全資産資へ資産を移動

です。

①に関しては、金利の引き下げによって、株式や不動産などの投資資産の価値が引き上がった結果、より魅力的と感じ、積極的に投資を行います。

金融機関もここぞとばかりにお金を貸し出します。

そして、機関投資家の中でも、

投機筋とよばれるヘッジファンド等が参入し、
株式市場を吊り上げます。

その波に乗り遅れまいとする個人投資家が参入し、

さらに株式市場が盛り上がります。

また、円金利の低さとデジタル普及により、

人々はより債務を拡大させるようになります。

そして所得よりもはるかに大きい債務が
積み上がっていきます。

日本を除く、世界各国が金融引き締めを終了させ、

徐々に緩和している状態に対して心地よく感じます。

一方で、②のパターンの人は、現在の金融市場がすでにバブル相場の始まりにいると、考えている人です。

例えば

あらゆるモノが従来の価格より高いと考えます。例えば、虎ノ門ヒルズが坪3,000万円になっていることや、全コラムで言及した時計の価格が高騰しており、下落し始めていることで、価値の異常さを再確認します。

また、今までみたこともない人たちが、

市場に参入していることに違和感を感じたりもします。

このような人達は、
日々上昇していく金融市場と睨めっこしながら、

機会損失をしていないと自分に言い聞かせ、
相場が大きく崩れるまで、

「待つぞー。大きく下落したらいっぱい投資をするぞー」と心の中で叫んでいる人達です。

さて、下の図は1960年から直近までの米国リセッションの時期を示したチャートです。米国は過去9回景気後退を経験しています。周期はだいたい10年でしょうか。

薄い赤色:米国景気後退時期

白色:米国10年金利

青色:米国政策金利
赤:S&P

ピンク:金価格

(出所:Bloomberg)

基本的に利下げを行った
半年から1年後には景気後退が訪れ、

株式市場が大きく下落しています。

今回の金利の据え置き、来年以降の利下げにより、

過去と同じ結果になるのでしょうか。

今週もよろしくお願いします。

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