メルマガ: 106th 「物言う株主 どの日本株に投資をしている? 来年は債券の時代 日本企業はボーイズクラブ」
【目次】
1.今週の一言/想像力
2. モノリスの活動日記/支援先
3.記事にコメント/バフェット円債発行、債券の時代、AIで利益
4.金融コラム/物言う株主、日本株へ投資 どんな企業に投資している?
1. 今週の一言/想像力
こんにちは。門垣です。
週末は、ザ•クリエイターをみに映画館へ。
映画の脚本家や監督の創造力は凄い。
マトリックスやスターウォーズの時代は、現実世界とは思えない映画、というイメージでしたが、
世の中のテクノロジーが発展するにつれて、より現実的と感じることができるようなり、急激に変革する未来を想像できるようになってきました。
あらゆるSF映画のテーマとなる、ロボットと人間は共存はこれからの人間の在り方を考えさせられますね。
人間が創り出すロボットが人間を凌駕する。
そんな未来はもうすぐそこまで来ている、と感じた1週間でした。
2. モノリスの活動日記/高級ソファベッド
弊社のモノリスコンサルティンググループ社で支援させて頂いている
高級ソファベッドのSWANELが
次々と有名なハイブランドホテルに採用されています。

家族で旅行に行った際に、1人だけ
安っぽいエクストラベッドで寝た結果、
腰が痛くなったり、寝づらい、
という気持ちを抱いた顧客が多くいるようです。
その結果、ホテルの口コミには批評があることも。
ベッドと変わらない寝心地、
それ以上の体験をできるように、
研究開発を重ねできあがったのが、SWANEL。

ホテルでSWANELで寝て、
気に入ったという声があり、
一般消費者にも展開し始めています。
完全オーダーメイドで、
ロット管理で経年深価を行っており、特許申請中の躯体システムを活用することで、業界初の10年保証。


WEBサイトもありますので、
ぜひチラ見してみてください。
https://ala-corp.com/swanel/product
3.記事にコメント/バフェット円債発行、債券の時代、AIで利益
バフェット氏のバークシャー、円債で1220億円調達-今年2度目
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-11-17/S46VTXT0G1KW01
投資の神様ウォーレンバフェット氏率いるバークシャーハサウェイが、円建て債券5本、合計で1,220億円の調達をした、という報道。
最も年限の短い三年債の利率は0.995%となった。
世界的にダントツで金利が低い円を調達して、投資のリターンをとる手法は、日本人投資家だけでなく、海外の投資家や金融機関の間でも主流になっている。記事には、ポーランド政府も円建ての債券を発行したと記載している。一方で、ドル金利は低下しており、円金利との差は少しずつ縮まるだろう。
来年以降円金利が上昇したときの、新しい投資戦略も考える必要があるだろう。
ピムコ、来年こそ債券の「プライムタイム」-今年外した予測繰り返すhttps://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-11-14/S44ATTDWX2PT01
米債券運用大手のPIMCOが、来年以降は債券が上昇すると予想する、との報道。今年は米国金利が低下すると思いきや、4回も利上げを実施し、債券価格は暴落した。債券運用をしている、ほとんどの投資家は、やられたという感じだ。
初歩的ではあるが、最終利回りの計算式は以下の通りだ。 利回りが低くなれば、価格は上がる。逆もまたしかり。またこの最終利回りは、ベース金利(米国であれば米国債)と信用スプレッド(企業などのリスクに応じて追加で支払う金利)で構成される

したがって、来年以降、米国金利が下落すれば、債券価格は高くなる、と市場はみている。
債券保有者にとっては朗報であるが、価格が上昇した後の運用戦略が大事になってくるであろう。
ドラッケンミラー氏、エヌビディア保有減らす-AIブームから利益
元ヘッジファンドの創業者で、現在約9200億円の資産を保有するドラッケンミラーの資産を管理するファミリーオフィスが、NVIDIAの株を一部売却した、との報道。しかし、AIの勢いはまだ続くため、全額売却はせずに、引き続き一部保有しているという。一方で、著名な投資家のジョージソロス氏は7-9月でNVIDIAの株を全て売却したという。
いずれにせよ、市場は株式の過熱感を感じ、一旦売却する投資家も増えている。
日本の取締役会は「意識低い」「イエスマンだらけのボーイズクラブ」。米コンサル大手の匿名調査で不満続々
https://www.businessinsider.jp/post-277775
日本企業は、CEOに異議を唱えない人で固められたチームをつくり、目先の売上ばかりを意識して、企業価値向上を考えず、金融リテラシーが低く、年齢層が高い経営陣が多い、と大手コンサルティング会社のベインの調査に関しての報道。
長期ビジョンを議論するための時間に費やさずに、
またグローバル展開しているのにもか変わらず、日本人だけの経営陣で固めたり、男性が多かったり、多くの問題を指摘されている記事だ。
私からすると、別に日本人だけでもいいと思うし、年齢層も高くてもいいと思うし、売上を意識する経営でもいいと思う。
しかし、これは企業価値を向上させていることが前提。株式会社は株主のものなので、企業価値が上がっていなければ、それは投資家に改善の要求を言われるのは当たり前だ。それができていないのであれば、投資家の言うことを素直に受け止め、改善する必要がある。
海外が必ずしも正しいとも思わないが、これだけ円安になり、経済成長に伸び悩み、デフレが続き、給料もずーっと変わらない日本の国力はどんどん下がってきている。相変わらず伸び続けて、世界でのプレゼンスが増しているのは、漫画やアニメ、日本食の文化、そしてスポーツくらいだ。
逆を言えば、日本はまだまだポテンシャルがあるということだ。
4.金融コラム/物言う株主、日本株へ投資 どんな企業に投資している?
前コラムで、日本企業には
まだまだ伸びしろがあると書いた。
アクティビスト(物言う株主)、最近では、
友好的エンゲージメント
(深いつながりを持った関係性)とよばれる
物言う株主よりかは穏やかな
エンゲージメントファンドも増えてきている。
海外におけるアクティビストの歴史は古く、
17世紀のオランダの東インド会社の大株主だったアイザック・レ・マイレ氏がパイオニアとされている。
その後1980年代から、米国でアクティビストが台頭した。現在も活躍中のカール・アイカーン氏などが一躍有名になった。
日本でも、
ブーンピケンズ氏による小糸製作所への出資(トヨタ系自動車部品会社)
村上ファンドによる昭栄(現ヒューリックの敵対的買収
スティールパートナーズによるアデランスへの経営改革出資や逆に逃げ切ったサッポロホールディングス、
その他にも数々のドラマが繰り広げられてきた。
先日シンガポールに行った際にも
これらのファンドを運用している方々とも
お会いしたが、
まだまだ日本株の成長可能性があると
活発に動いていることを聞いた。
日本企業が企業価値を高める努力をすれば、
株価が上がり、投資家、経営陣、従業員にも恩恵がでるようになる。
そこで、今回はアクティビストや
エンゲージメントファンドが
最近購入した日本株を紹介してみる。
今回は、日本で物言う株主という概念を普及させた
旧村上ファンドの動向。

現在は、C&Iホールディングスという社名で娘の村上絢氏が代表を勤める。
また、旧村上ファンド系のシティインデックスイレブンスの投資先もみてみる。
アクティビスト:シティインデックスイレブンス
保有率:5.78%
活動開始時期: 23年11月
社名:寺岡製作所
会社概要:粘着テープの製造メーカー。梱包包装用から電機・電子用、産業用テープまで様々な粘着テープを製造。 創業100年企業。
時価総額:約160億円
直近12ヶ月売上高:189億円
営業利益率: -8.75%
ROE(自己資本利益率): -13.16%
ROA(総資産利益率): -10.29%
概要: 同社は10月30日に1株564円で、非上場化に向けたMBO(経営陣による買収)を発表していた。りそなキャピタルの資金を受け、代表取締役会長の寺岡氏が公開買い付けを行うといったものだ。
背景としては、資源価格の高騰や円安による経済状況の悪化、戦争による地政学リスク、さらには同社の主要市場である中国経済にブレがではじまたことから、ホームセンターなどの梱包テープも売れず、自動車の生産減少に伴い産業用テープの売上も減少し、業績が伸びず、株価も低迷していたところ、筆頭株主である伊藤忠商事がMBOを提案したことからはじまった。
しかしながら今月15日にシティインデックスイレブンスが、重要提案行為等を目的に5.78%保有していると発表。一時株価は10%近くも上昇した。なんともややこしい構図である。MBOをする前に、物言う株主が提言をすることで、思い描いたストーリーは簡単に実現できないであろう。さて、シティインデックスイレブンスはどのような発言して、株価を向上させるのであろうか。
株価

(出所:Blomberg)
アクティビスト:C&I Holdings
保有率:9.8%
活動開始時期: 23年9月
社名:焼津水産化学工業
会社概要:焼津水産化学工業は業務用粉末・液体天然調味料やふりかけなどの乾燥食品を製造および 販売。また同社は家庭用食材の製造も行う。
時価総額:約130億円
直近12ヶ月売上高:120億円
営業利益率: -2.57%
ROE(自己資本利益率): 1.4%
ROA(総資産利益率): 1.25%
概要:
こちらもTOB案件だ。国内での天然調味料の産業が縮小するなか、経営再建を図るべく、今年8月~9月にかけて当社に対し、プライベートエクイティ会社のJ-STARが1137円でTOBを発表した。しかしながら、9月に村上ファンドが大量保有報告書を発表。株価は1,200円を超え、既存株主はTOBに応募するよりも、市場で普通に売却した方が得になるような構図になり、TOBは失敗に終わってしまった。
当社は、シンプルに負債が約20億円規模だが、現預金は80億円も保有しており、
資金が上手く活用されていない。自己資本比率は80%後半を維持し続けている。
さらに原材料が高騰していき、売れなくなってきているため、収益性も低いといったところだ。先日行われた第二四半期累計(4月~9月)の決算発表においても、前年同期比で経常利益が49.2%減の9,400万円に落ち込んだ。
日本企業の特徴として、コストカットは頑張るが、値上げをしない。値上げをすると取引先は減少するのではないかと思うが、その分価値を上げれば良い話だ。
値段が上がらなければ、利益も減り、投資家や従業員への還元、さらに研究開発へ繋げられない。

(出所:Bloomberg)
最後に、村上ファンドではないが、今月15日に
米国の物言う株主ファンド、バリューアクトキャピタルが
リクルートへ投資1,800万株(1%超)を行った、との報道があった。
バリューアクトは セブン&アイホールディングスへの出資や百貨店そごうの
売却を求めたファンドだ。
今回、リクルートに対して、リクルートの資産は現在の株価の2倍の価値があると、言及。経費削減などに取り組むような提案を行った。
米国マクロ経済の不透明な状況が続いているなか、リクルートの主要ビジネスであるIndeedの収益が前期比で-9%(Q3)となった。
今まで、Indeedはユーザーが入札式で広告費用に対する、求職者の1クリック毎の料金を決められていたが、今は完全自動型でIndeed側がクリック料金を設定する。
これによりIndeedのキャッシュフローはより安定的になっていくが、ユーザーからするとIndeedのブラックボックス化に不安を抱いているだろう。
日本の採用媒体でもダントツでIndeedがトップであるが、新たな応募媒体がでなければ、日本はIndeed依存になってしまう。
また、他の媒体が頑張らなければ、リクルートの努力も小さくなるだろう。
今週もよろしくお願いします。