ポッドキャストはこちら

メルマが: 129th 「町のとんかつ屋 /JPモルガンによるファミリーオフィス投資動向調査/物言う株主の日本株提案」

メルマガ

【目次】

1.今週の一言/身近なところまで

2. 記事にコメント/JPモルガンによるファミリーオフィス投資調査

3. 金融マーケット/株主総会控え、アクティビストの要求が増加


1. 今週の一言/身近なところまで

こんにちは。門垣です。

GWはいかがお過ごしでしたでしょうか。

東京は観光客で溢れ、活気が戻ってきた感じがしました。

さて、弊社のオフィスは東京目黒にありますが、

目黒駅周辺は、飲食店が多く、人気店の前は長蛇の列が続いています。

有名どころとして、とんかつの御三家があります。

①とんき

②かつ壱

③大宝

①とんきは、一番立地がよい昭和14年創業の老舗。和食屋のような雰囲気のカウンターがあり、一口サイズに切った品のあるとんかつを提供してくれます。

②かつ壱は、駅から一番近いが、地下にあるため知る人ぞ知るお店。肉厚がしっかりとしていて、食べ応えがあります。またとんかつメニューをつまみに、お酒も提供されており、居酒屋のようなスタイル。オーナーの趣味は海釣り。私が一番好きなお店です。

③最後は大宝。ここは目黒のメイン通りである権之助坂通りにあるため、いつも長蛇の列が続いています。大ぶりのお肉で、外はさくっと、中はジューシーなザ・とんかつを提供します。

GW中に久々に大宝に行ったのですが、お店に入った瞬間に、カタコトの日本語で「ロース イッチョー」という言葉が聞こえてきました。

以前からスタッフは外国の方がいたのですが、

職人まで東南アジア/南アジアのフル外国籍の方でした。(昔は職人は日本の方)

言葉はカタコトでしたが、気遣いや振る舞いは日本人さながら。列に並んでいるお客様をスムーズに店内に案内し、とんかつが揚がるタイミングで、白ご飯やお味噌汁をバシッとだしてくれました。

しかしながら、なんかいつもと違うなぁと感じていたところ、

実はコロナで経営難に陥り、最近オーナーが韓国の方に変わっていました。

つまり、日本が誇る料理「とんかつ」で、目黒で有名な御三家のうちの一つは、

完全に外国の方のお店、従業員も外国の方々の老舗になっていたのです。

日本人がフランスで老舗フランス料理、中国で中華料理を経営するようなもの。

コロナの助成金が終わり、昨年の飲食店の倒産件数は前年比7割り増、居酒屋やカフェは過去最多になっていますが、激戦区の東京はこの流れがまだまだ続きそうです。

アジアの富裕層が日本企業を買収するケースも増えていますが、

まさか身近な飲食店まで…….と感じた一週間でした。

2. 記事にコメント/ファミリーオフィスレポート

今回は、下記の世界190のファミリーオフィスを対象としたJPモルガンのレポート(23年10月~12月調査) のポイントを整理する。

2024 ファミリーオフィス投資調査レポート by JP Morgan(英語)

https://privatebank.jpmorgan.com/nam/en/services/wealth-planning-and-advice/family-office-services/2024-global-family-office-report

【投資ポートフォリオについて】

ファミリーオフィスの目標リターンの平均は11%。資産の45%はオルタナティブ投資(未上場株、プライベートデット、不動産等、ヘッジファンド)、上場株は26%、債券や現金同等物で20%、残りはコモディティ等その他の資産へ配分。また、76%のファミリーオフィスがベンチマークを設定していることが明らかになった。複数の資産の指数を組み合わせたカスタマイズベンチマーク、大学基金等の運用パフォーマンス、あるいは絶対的リターンなどだ。

投資の意思決定に関して、48%の家族は、家族内で投資のルールを定めながら、外部金融プロフェッショナルと相談し、意思決定を行っている。

【ファミリーオフィス体制】

約80%のファミリーオフィス(富裕層一族の資産管理会社)は、運用チームとして外部アドバイザーに委託している。ファミリーオフィスを設立する一番の目的は、次世代への計画的な資産承継だ。37%が定期的な家族での会議を開催、24%が総会を行うなど、投資や家族としての方針を話すための議論を重ねている。また、ファミリーオフィスが行っていることは主に4つの分野に分類される。

資産運用

各種プロフェッショナルサービス
(税務、法務等)

各種管理
(運用レポーティング、資産や書類の管理等)

その他
(ガバナンス、相続計画、慈善事業計画)

尚、50%以上のファミリーオフィスが上記の4業務を外部人材や会社に委託していることが明らかになっている。

【費用とリソース】

ファミリーオフィス運営にかかるコストの内訳は、人材、システム、リサーチ費用、各種業務に関わる経費、オフィス代など様々である。資産額の規模によって異なるが、資産額が$50 million〜 $ 500 millionの一族は、年間コストが$1 million 以下であると回答。$1 Billionの一族は年間$10 million以上コストがかかっている。雇用人数に関しては、平均で11人のスタッフ。しかしながら、50%のファミリーオフィスは5人以下と回答している。

スタッフの役職に関しては、以下の通りだ。
CEO, CFO, CIO, COO, Chief Legal Officerなどがいる。

【コメント】

日本ではファミリーオフィスは馴染みがないが、わかりやすくいうと、一族の資産の方針を決め、運用や相続等を実行していく資産管理会社のようなものだ。資産規模が大きければ大きいほど、オフィスを構え、従業員を雇用し、あらゆる意思決定を行う必要がある。

日本では任天堂の山内家のファミリーオフィスが有名だ。https://y-n10.com/

一般的に世界では、資産規模が10億円を超えると、外部アドバイザーを活用しながら、本格的な資産管理や運用を行う慣習がある。

今後は、日本でもこのような文化が浸透していくであろう。

3. 金融マーケット/株主総会控え、アクティビストの要求が増加

多くの日本企業が6月に株主総会を迎える。

総会に合わせて、アクティビスト(物言う株主)からの要求も増えており、株価に大きな影響を与えることが予想される。

【株主提案、株価の持続力】還元・資本効率改善で長く 

の記事にあるように、アクティビストについて言及することが記事が増えてきた。

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO80413110R00C24A5EN8000

アクティビストは、株主利益の確保や株価向上のために、投資先企業に対して行動や働きかけをする投資家のことだ。日本市場の株価パフォーマンス向上による注目、東京証券取引所によるガバナンス改革、一般機関投資家(アセットマネジメント会社等)による企業価値向上などの背景により、

アクティビストが増えている。影響力が小さいがX(旧Twitter)等を通して、個人投資家が言及するケースも増えてきた。

(出所:大和総研 アクティビスト投資家の近時動向 レポート)

アクティビストによる株主提案数も年々増加している。

(出所:大和総研 アクティビスト投資家の近時動向 レポート)

今回、4月から5月にかけてアクティビストが言動した銘柄と内容を集計してみた。

全部で16銘柄あった。

(マーケットデータよりモノリス作成)

アクティビストが言及した銘柄の例

大阪製鐵( 5449 JT Equity)

株主総会6月24日

旧村上ファンド出身の丸木氏が率いるストラテジックキャピタルが株主提案をすることを発表。
日本製鉄への預け金または貸付金による資金提供を禁止することや、特別配当を行うこと、PBR1倍以上を目指す計画を策定し開示することなどを要求した。

空港施設(8864 JT Equity)

株主総会6月29日

香港に拠点を構えるリムアドバイザーズが空港施設に対して株主提案を行うことを発表。
同社は、空港に必要な施設や機能を提供している。不動産賃貸、施設管理、熱供給、給排水等のインフラだ。ANAとJALが同社の株を19.86%ずつ保有しているが、それぞれ両社、また国交省OBのの天下り先になっている事実が明るみに出たことから、利益相反の疑いをかけられている。

大日本印刷会社(7912 JT Equity)

株主総会6月29日

マネックスグループの子会社、エンゲージメントファンド(友好的物言う株主)であるカタリスト投資顧問株式会社が、同社に対して株主提案を実施することを発表。内容としては、印刷やパッケージの成熟産業が収益性が低いため、改革を行うことを要求。手段として、社外取締役に経済学者の楠木建氏仙選任することを打診した。

アクティビストの台頭は、「何のために上場しているのか。」というキーワードを企業や経営者の脳裏に焼き付けることになるだろう。

今週もよろしくお願いします。

YOU MAY ALSO LIKE