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メルマガ: 118th 「ファミリオーオフィスの仕掛け/任天堂山内家/ヘッジファンドの動向」

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【目次】

1.今週の一言/アービトラージ

2. モノリスの活動日記/日経平均あと50円

3.さくっと先週のマーケット/ファミリーオフィスの動向 任天堂山内家、ウィスキー投資

4.金融コラム/ヘッジファンドのパフォーマンス


1. 今週の一言/アービトラージ

こんにちは。門垣です。

今週末は、昨年に続きお客様と一緒に

ワインオークションへ。

ワインの仕入れは、シャトー(生産者)からの直接買い付け、その取り巻きのネゴシアン(仲介人)、インポーター(輸入業者)、酒屋等色々行ってきましたが、なんだかんだオークションは参加者の状況次第で、市場価格と落札価格にリアルタイムで差が生まれるため、その歪みをつけば利益をうむことができ、面白い世界と感じました。データさえあれば、瞬時に歪みを見つけることができます。

金融の世界でいうと、
アービトラージ(裁定取引)ですね。

シャトーから直接買うと安く感じそうですが、

逆にプレミアムがついて高くなったり、

かと言って実態のないオークションや
市場から買い付けると、

偽物がまぎれていたり、質が悪化していたり、

実物資産は見極めが大事だなと感じた1週間でした。

2. さくっと先週のマーケット/ 日経平均あと50円

先週は日経平均が3.41%上昇し、
過去最高値の3万8915円まで残り50円となった。

米国半導体装置大手のアプライドマテリアルズの決算が市場上回り、米国株式市場の時間外取引で上昇、これを受けて東京市場の東京エレクトロンとアドバンテストが上場来高値を更新し、

日経平均を牽引する形となった。また、米国市場では、CPI(消費者物価指数)が市場予想の0.3%上昇を上回る0.4%となり、利下げが遅れる可能性が高まった。

(BLoombergよりモノリス集計)

3.富裕層の公然の秘密/ファミリーオフィスの動向 任天堂山内家、ウィスキー投資

ファミリーオフィスは積極的に現金をオルタナティブ資産へ(英語)

https://www.cnbc.com/2024/02/16/family-offices-shift-out-of-cash-into-alternatives.html

KKRのファミリーオフィス調査によると、世界中の75人の最高投資責任者(CIO)を対象にした結果、今年ファミリーオフィスはポートフォリオの52%を代替投資に割り当てる予定で、2022年から比較すると42%も増加している、との報道。現金保有は2022年の11%から2023年には9%に減少し、上場株式の保有も32%から29%に減少。富裕層の資産を運用するファミリーオフィスの投資先には、プライベートクレジット、インフラ、プライベートエクイティ、コモデティなどが増えている。

最近はJPモルガンアセットマネジメント、UBSアセットマネジメント、ブラックロック等の大手資産運用会社が次々と富裕層やファミリーオフィス向けのオルタナティブ投資商品を組成。日本で販売されているほとんどのオルタナティブ資産の組成会社は、海外の運用会社であり、日本の運用会社はその商品を日本で販売するために国内投信に変えているだけであって、コストが上乗せされている。したがって、海外市場から直接購入することがカギとなる。

「いまの子どもたちに資産を還元するというミッションがある」:任天堂創業家が京都に仕掛ける「動」の文化(日本語)
https://wired.jp/article/vol46-nintendo-angle01/

少し前の記事であるが、任天堂の創業家である「山内家」のファミリーオフィス「Yamauchi-No.10 Family Office」についての記事。山内家が持つ資産は、有形資産だけで1,000億円以上と言われている。その資産を任されているのが、創業一族の山内 万丈だ(31歳)。

記事にもあるが、万丈氏が考えるファミリーオフィス事業は、「インべストメント(事業投資)」「インキュベーション(創出支援)」「フィランソロピー(慈善活動)」の3つ。どのような哲学をもって活動しているかは記事を読んでもらいたいが、ファミリーオフィス観点でのポイントとしては、金融業界のプロフェッショナルを専属で5-6人採用し、各種投資の実行を行っていることだ。

この規模になると自前のファミリーオフィスが必要になり、雇用コスト、情報・調査コスト、オフィス等すべて含めると、世界的にみて純資産に対して1%強はかかっている。つまり1,000億円に対して約10億円程度だ。一方で、1,000億円以下の資産の一族は、自前でファミリーオフィスを保有するとコスパがあわないことから、我々モノリスのようなマルチファミリーオフィス(複数の家族の資産を管理・運用する会社)に委託するのが主流である。

ウィスキーに集まる投資マネー(日本語)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB1750P0X10C24A1000000/

サントリーの「シングルモルトウィスキー山崎12年」700ミリリットルが前年同月比に比べ、6割上がり過去最高値をつけたとの報道。インフレの時代、現金の価値は目減りするため、ファミリーオフィスだけではなく、一般層も積極的に実物資産に投資を行っている。

4月からサントリーが値上げを開始するため、バーでウィスキーを飲むと、今まで以上に値段が高くなり、ボトルキープをするとびっくりする価格になるだろう。

また、コンビニフランチャイズのオーナーは、ウィスキーを仕入れる際に、お店として購入するのではなく、個人のポケットマネーで購入している人が増えているみたいだ。個人で購入後、保管するかネット等で転売するという、なんとも言い難い戦略を実行している。

4.金融コラム/ヘッジファンドのパフォーマンス

前コラムでは、
オルタナティブ資産について言及しました。

債券、株、商品、
コモデティは伝統資産と言われますが、

不動産、プライベートデット、プライベートインフラ、ワイン/ウィスキー、暗号通貨等はまとめて非伝統資産(オルタナティブ資産)と言われています。

今回は、オルタナティブ資産の一つである

ヘッジファンドのパフォーマンスに
ついて調べてみました。

ヘッジファンドといっても、
どのような資産を含めるのか、

どのような戦略で運用するか、など様々な種類があります。

例えば、

株式を対象として、ロング(買い)やショート(売り)を組み合わせた戦略

マクロ経済動向や指標に適応した戦略

会社のコーポレートアクション(株式分割、配当、M&A等) だけを狙った戦略

ダイレクトレンディング戦略(企業に直接お金を貸しながら行う運用)

世の中に数えきれないくらいの数があります。

下のチャートは2021年を基準として騰落率を示したものです。

世界のヘッジファンドをカテゴリ別に分け、Blombergが指数として発表しています。

指数は30種類以上ありますが、下記は代表的5つのカテゴリの戦略のパフォーマンスを表示しています。

パフォーマンス別にみると

  1. 青:イベント型マルチアセット戦略(複数の資産を組み合わせ、イベントに応じて売り買いをする戦略)
  2. 黄: 割安・割高を分析しながら、複数の資産の買いと売りを組み合わせた戦略
  3. 白: 株式の売りと買いと組み合わせた戦略
  4. 紫: 複合的な戦術を用いた債券の売りと買いと組み合わせた戦略
  5. 赤:マクロ経済を軸に、複数の資産を組み合わせた戦略

(出所:Bloomberg)

これらは同類の戦略をまとめた指数になりますが、運営会社によって細かい運用条件は

異なり、本当に様々なものがあります。

日本ではヘッジファンド=怖いというイメージがもたれますが、

基本的にはヘッジしているファンドなので、値動きの変動を抑制している商品になります。

したがって、商品にもよりますが、金融市場がものすごく上昇すれば、ヘッジしていない戦略よりもパフォーマンスが劣っていたり、逆もしかりです。

意外と日本人の性格にあっているかもしれません。

今週もよろしくお願いします。

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