ポッドキャストはこちら

メルマガ:186th 「オスマンの記憶と、アジアとヨーロッパの狭間で見た新しい躍」

メルマガ

【目次】

  1. 今週の一言/モノリスの活動日記

1. 今週の一言/モノリスの活動日記

こんにちは。門垣です。

今週から、かつて600年以上続いたイスラム世界最大の

帝国・オスマン帝国の中心地、トルコを訪問。

1887年にオスマン帝国の軍艦「エルトゥールル号」が和歌山沖で遭難した事件をきっかけに、トルコは日本に対して親日的な姿勢を持ち続けてきました。

以前は多くの日本人観光客が訪れていたようですが、ここ10年ほどでその数は減少している印象です。街を歩いていても、日本人は少なく、トヨタの存在感は控えめで、ユニクロは一店舗もありません。

久しぶりに“日本のグローバルトップ企業が進出しきっていない国”と出会いました。

かつてのオスマン帝国は、最盛期にはヨーロッパ・アジア・アフリカの三大陸にまたがり支配していました。今回、現地で出会った方々は皆、「こちらは海を越えればアジア、反対側はヨーロッパ」と、地理的なダイナミズムを誇り高く語ってくれました。確かに、アジア・ヨーロッパ・中東の交差点に位置する国として、極めてユニークな立地です。

オスマン帝国がなぜこれほどまでに繁栄したのか。その理由については多くの書籍やガイドが語っていますが、ある有力人物との面談では「血縁よりも能力本位で権力を継承していったこと」が最大の要因だという言葉が印象的でした。

帝国は第一次世界大戦の敗戦を機に崩壊し、1923年にムスタファ・ケマル・アタテュルクがトルコ共和国を建国。つまり、トルコという国は建国から100年という比較的新しい国家でもあります。

現在の人口は約8,600万人で、日本の2/3ほど。首都はアンカラですが、最大都市はイスタンブールで、人口は1,400万人。東京に匹敵する規模です。

観光面でも存在感があり、常に世界の訪問者数ランキングの上位に入り、2023年には2,000万人を超える観光客が訪れ、世界一になりました。

個人的な印象としては、ヨーロッパの一部の国々よりも治安が良く、街も穏やかです。中東に近いという理由から日本では懸念されることもありますが、現地にいる限りでは戦争の影響などはまったく感じませんでしたが、滞在二日目のちょうどさきほどイランがカタールのアメリカ基地にミサイルを放ったので、これからはわからないですね。今週はイスタンブールでイスラム経済サミットが開催されているため少しだけざわついており、緊迫してきそうです。

さて、政治体制ですが、2017年から実質的な大統領制に移行し、エルドアン大統領が2003年の首相就任以来、長きにわたり政権を担っています。

政治の構造としては、【保守 vs 世俗】、【イスラム vs リベラル】、【トルコ民族 vs クルド民族】といった対立軸が存在し、現在は保守・イスラム系のAKPが政権を維持しています。

経済は不安定な状況が続いています。

2023年には急激なインフレと通貨安への対応として、政策金利を41%に引き上げました。インフレ率は一時60%に達し、インフラ投資の停滞などの影響もありました。
現在は45%付近を推移しています。

市長の汚職による逮捕もあり、政治リスクと通貨安が連鎖し、金融政策は依然として難しいかじ取りを迫られています。平均的な世帯年収は月10万円前後とされており、物価は東京に近い水準まで上昇している体感があります。

今回、ローカルのお店にも行きましたが、少しだけ食べて飲んで、一人5,000円ほど。

生活環境は決して楽ではなさそうです。

国家の構造的にも日本と似ており、エネルギーを輸入に頼る体質です。輸出産業は存在するものの、高付加価値のビジネスモデルが確立しておらず、経常赤字が慢性化しています。加工貿易型の産業構造であるため、付加価値を稼ぎにくい構造でもあります。

ただ、今回のビジネスミーティングで聞いたのは、これまでの組み立て中心の製造業から、自社で製品を企画・製造・輸出する企業が徐々に増えてきているということ。政府の後押しもあり、中小企業を中心に変化の兆しが見えてきているようです。

起業する若者も増えており、国全体に前向きなエネルギーがあるように感じました。スポーツではサッカーが圧倒的に人気で、バレーボールやバスケットボールも高い関心を集めています。

今回は、トルコを代表する財閥グループの1社にアテンドしていただき、オーナーを含む幹部の方々と、プロジェクトについて話しました。

今回の打ち合わせをきっかけに、トルコと日本の新たなビジネスの関係構築に貢献できたらと思います。

オーナーが保有するレストランでミーティング

下記は、「これが本物のケバブ」だと言われて出てきたもの。

トルコは中東やロシアなど周辺国の料理が混ざり合った料理が多く、世界三大料理に選ばれているだけあり、自国の料理だけで様々なテイストを味わえるため、例えばわざわざイタリアンなどを食べなくても十分なようです。

シーバスの塩釜焼き

また、今回の出張内容を簡単にまとめたレポートをポータルに配信します。

今週もよろしくお願いいたします。

YOU MAY ALSO LIKE