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メルマガ: 174th 「躍動する日本アスリートと、もう一つの勝負の場」

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【目次】

1. 今週の一言/モノリスの活動日記


    1. 今週の一言/モノリスの活動日記

    こんにちは。門垣です。

    MLBの開幕戦が日本で開催され、大谷選手が期待通りのホームランを放ちました。サッカー日本代表はバーレーンに2-0で快勝し、世界で最も早くワールドカップ出場を決定。さらに、F1の角田裕毅選手は中国GPスプリントで6位入賞し、貴重なポイントを獲得。

    日本人アスリートたちの躍進が目覚ましく、スポーツを通じて胸が熱くなる1週間でした。普段あまり涙を見せない私ですが、不思議とスポーツだけは感情が揺さぶられ、涙腺が緩みます。

    その一方で、スポーツの裏側では経済活動が大きく動いています。大谷選手の関連グッズは飛ぶように売れ、埼玉スタジアムには6万人近い観客が詰めかけ、F1のパドックには世界中のスポンサーや富裕層が集結。レースの裏では多くのビジネス交渉が進んでいます。

    先日、F1関係者との打ち合わせがありました。

    F1は年間21カ国で24レースが開催され、各グランプリには全世界で約5億人がテレビや配信を通じて視聴しているそうです。

    日本でも1990年代のF1ブーム時には盛り上がりを見せましたが、現在は地上波での放送もなく、野球やサッカーと比べると報道も少なめです。しかし、グローバルではSNSやNetflixのドキュメンタリーシリーズ『栄光のグランプリ』などの影響で、F1の存在感はかつてないほど高まっています。

    FORMULA 1 栄光のグランプリ

    https://www.netflix.com/jp/title/80204890

    その結果、F1のブランド力を活用しようと、多くの国際企業がスポンサーに名乗りを上げ、レース中にも様々な商談が展開されているとのことです。

    一例として、今では誰もが知るエナジードリンク「レッドブル」があります。

    そのルーツは、タイの小規模メーカーが販売していた労働者向けの栄養ドリンク「クラティンデーン」。そこに目をつけたオーストリア人が味や成分を調整し、欧州市場向けに展開を始めたのが出発点です。

    1996年、グローバル展開を視野にザウバーF1チームへのスポンサーを皮切りにF1界に参入。

    その後、F1の国際ネットワークを最大限に活用し、販路を広げ、今では年間127億本を販売、売上は2兆円近くに達する巨大企業となりました。

    糖分とカフェインがたっぷり入ったレッドブル。

    「翼を授ける」というキャッチコピーの通り、私の前職時代には徹夜前の仲間たちがこぞって手に取っていた光景を思い出します。朝の早い時間、駅のホームで若手社員がレッドブルを飲んでいたのも印象的でした。

    さらに今年、LVMHグループがF1と10年間のスポンサー契約を締結。契約金は10億ドル(約1,500億円)という驚くべき規模です。

    LVMH、F1と大型スポンサー契約を締結-ロレックスと入れ替わり – Bloomberg
    https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-10-03/SKR9ICT0AFB400

    LVMHほどの世界的企業であれば、もはや広告すら不要と思われるかもしれません。

    それでもF1の場に出資するのは、それに見合う価値が存在するからでしょう。かつては日本企業も第一次F1ブームの際に積極的に広告を出していましたが、F1の国際ネットワークを有効に活用できず、投資効果を得られなかった企業も多かったようです。

    最近は日本と海外の経営者の方と話していて感じるのは、仮にこのようなスポンサーの話があった場合、海外の方は「どのように活用していくか」に焦点を当て、ビジネスストーリーを描く傾向がありますが、日本の方は「費用対効果は」のように目先の数字を気にする性質があるなと感じました。

    どっちが正しいとかはありませんが、個人的に感じることとしては、F1以外のコミュニティの場も含めて、日本人にとって海外の「社交場」に飛び込む習慣がないため、イメージが湧かないのかと思っています。

    このような社交場で初対面の人に声をかけるのをためらい、つい日本人同士で固まってしまう傾向があるのは、語学の壁や和を重んじる文化的背景も影響していると思います。

    これを解決していくためには、最終的には「一歩踏み出す勇気」だと思っています。(もちろん育った環境や場慣れが一番ですが) どう思われるかよりも、失敗を恐れるよりも、まずは行動することが大切。私も得意なわけではありませんが、意識して心がけています。

    今や、製造技術の高度化や自動化が進み、日本の「器用さ」や「職人技」だけでは世界と戦うのが難しい時代です。モノやサービスの質だけで勝てる市場ではありません。

    だからこそ、どう見せるか、どう売るか。この「伝え方」や「打ち出し方」こそが、グローバルで戦う企業にとっての最大の課題になるのでしょう。

    これまでの経済界のリーダーたちは、海外経験が少なく、グローバル戦略に苦戦してきた一方で、その次世代となる子どもたちは、海外で教育を受ける機会も増えており、私はこれからの未来には大きな可能性を感じています。

    今週もどうぞよろしくお願いいたします。

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