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メルマガ: 171th 「台湾出張/ちらっと活動報告」

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【目次】

1. 今週の一言/台湾出張


1. 今週の一言&モノリスの活動日記/台湾

こんにちは。門垣です。

先週、台湾に出張し、超富裕層、マルチファミリーオフィス、ファンド関係者などと面談を行いました。

ご存じの通り、台湾は人口2,342万人の小さな国家であり、かつて日本の統治下にあった歴史があり、日本文化が色濃く残っています。街を歩けば、日本の飲食店や小売店が多く見られ、普通に日本語を話せる人も多いため、どこか安心感があります。

また、街のビル自体は老朽化が進んでいますが、中はリノベも進んでいたり、現在スターバックスがアジア最大の店舗を建設準備するなどしており、街の開発にも積極的です。ビジネス面でも日本と同様、半導体産業を中心に、製造業や電子工業が発展しています。

さて、今回の出張でも多くの学びがありましたが、特に印象的だったのは「危機感を抱いている人が多い」という点でした。

1986年、日本と米国の間で日米半導体協定が締結されましたが、これを契機に世界の半導体市場をリードし、シェア70%を誇っていた日本の半導体産業は急速に競争力を失いました。

現在、台湾はアメリカと並び世界の半導体市場を牽引していますが、トランプ大統領が台湾の半導体産業がアメリカにとって不利益をもたらしているという主張を繰り返したことで、日本がたどった道を台湾も歩むのではないかという不安が広がっています。

(ウェブより抜粋)

また、台湾は政治・経済・軍事・通貨など独自の施策をとっていますが、中国による再統一の動きや軍事的圧力により、常に不安定な状況に置かれています。

こうした背景から、台湾人は日本と同様、あるいはそれ以上に外的要因から身を守るため保守的なようにみえます。

興味深い話として、食事中に、中国では「資産が1億円ある」と言う人は実際には5,000万円程度しか持っておらず、台湾では「3,000万円しか持っていない」と言う人が実際には1億円持っている、という性格の違いを表す例え話がありました。

表に出ることを避ける慎重な性格がある一方で、実はラグジュアリーなものや豪華なアイテムを好む傾向もあります。

実際、コロナ禍において、台湾にあるグローバルラグジュアリーブランドの売上は世界的に見ても高い水準にあったようです。

つまり、「お金を持っていることは表に出さないが、希少価値の高いものにはこだわる」という気質があるようです。

さて、そんな台湾ですが、富裕層の多くはカナダやアメリカの国籍を持っています。

世界最大の半導体企業であるNVIDIAの創業者、ジェンスン・ファンも台湾系アメリカ人ですが、私が会った富裕層のほとんどは二重国籍を持ち、台湾で税金を納めていない人も少なくありません。

台湾の相続税は10%、15%、20%の累進課税ですが、日本の最大55%と比べれば低いものの、相続税がゼロの香港やシンガポールと比較すると魅力は薄れます。そのため、ファミリーオフィスはさまざまなスキームを活用して相続税の負担を抑えようとしています。

今回面談したマルチファミリーオフィスの中には、自社で信託会社を持ち、ニュージーランドに信託を組成して顧客の資産を相続税から守る仕組みを作っているところもありました。

ニュージーランドでは贈与税・相続税がかからず、さらに非居住者の国外所得には課税されないため、多くの台湾の富裕層が活用しているようです。

ビジネスにおいては、日本と同じくブランド戦略やマーケティングが苦手な側面があり、「台湾はODMやOEMだけではだめだ。これからは世界に向けて発信していかなければならない」という声もありました。

企業の戦略はもちろんのこと、富裕層やファミリーオフィスも常に世界の投資機会を探しており、今回の面談でも「日本企業や日本の資産へ積極的に投資したい」という話が出るなど、前向きな姿勢があることも事実です。

また、台湾は大学進学率95%を超える高学歴社会で、世界のトップ大学を卒業した人材が数多くいます。

日本と比べても英語を話せる人が多く、グローバルな視点を持つ人材が多い一方で、「台湾では就職先が限られている」という課題もあります。

半導体や製造業は技術職の需要が高いものの、それ以外の産業はサービス業が中心で、就職先として販売職を選ばざるを得ないケースが多いようです。「販売員などの職種か、オフィスワークか」という二択が根強く、多くの人が後者を希望しています。

ここでいう台湾のオフィスワークとは、営業、マーケティング、経理、事務など、店舗での販売職以外の職種を指すようです。

興味深いのは、英語が堪能な人が多いにもかかわらず、アメリカや他国で働くのではなく、日本で働きたいと考える人が多いことです。

私の知人で台湾人の日本企業就職を支援している人がいますが、1回の説明会に100人以上が参加することも珍しくなく、日本での就職熱は非常に高いようです。

このような背景から、日本企業が外国人採用をする場合は、まずは文化の相互理解があり、比較的性質が似ている台湾人から始めるのが良いと考えています。

そして、両国の人材やビジネスがさらに交わり、発展していけばいいなと思っています。

今週もよろしくお願い申し上げます。

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