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メルマガ: 104th 「アジアのスイスシンガポール いまだに富裕層を魅了する」

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【目次】

1.今週の一言/綺麗な物価の高い国

2. モノリスの活動日記/今週から

3.記事にコメント/シンガポール関連記事

4.富裕層コラム/さくっとシンガポール経済


1. 今週の一言/綺麗な物価の高い国

こんにちは。門垣です。

週末からシンガポールへ。

前回シンガポールに来たのが5年前くらいでしたが、

空港がとても綺麗になっていました。やはり国の玄関口を整えると、その国のイメージも上がりますね。

ただ物価も高く、普通のカフェの朝食で22SGD(約2,400円)。家賃も物価も高騰しており、日本円もより弱くなってきていることから、

日本が今まで以上に衰退してきていると痛感しました。

アジアの時代を感じたと同時に、日本への危機をさらに感じた週末でした。

(空港の写真)

2. モノリスの活動日記/今週から

金融規制が厳しくなり、

スイスがかつてのプライベートバンク
王国ではなくなったこと、

欧州の政治が不安定なことから、

世界各国の富裕層がシンガポールに
きているみたいです。

昨年にはレイダリオ氏が率いる
世界最大級のヘッジファンドの

ブリッジウォーターアソシエイツがオフィス拠点を構えたり、あらゆる富裕層が拠点を構えています。

しかしながら、

シンガポールが大規模なマネーロンダリング捜査、
銀行の対策は十分か

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-09-05/S0HU9DT1UM0W01

の記事にもあるように、マネロンが発覚したため、

今後はシンガポールも厳しくなっていくとの予想。

今週から各国のプライベートバンク10行以上と打合せをして、

各銀行の特徴や規制に関しても聞き込み調査をしていきます。

3.記事にコメント/シンガポール関連記事

資産2兆円越えのダイソンの創業者である「バキュームキング」がシンガポールで巨額の配当金で160億ドルの資産を増やす(英語)

https://www.businesstimes.com.sg/international/vacuum-king-dyson-boosts-us16-billion-fortune-mega-dividend

みなさんお馴染みのダイソンの創業者であり、イギリスで2番目にリッチな

ジェームズダイソン氏が、ダイソンの収益をシンガポールに拠点を置く自身の資産管理会社に約2,200億円配当として支払った、との報道。

日本だと、上場企業からの配当は20.315%、未上場企業からの配当に対しての課税は約50%(個人で受けた場合)近くにも及ぶが、シンガポールでは課税されないため、

相当な資産を蓄積できる。

ダイソンは、扇風機、掃除機、ドライヤー、ノイズキャンセリング以外にも、農業、金融、不動産、など様々な事業を展開し、拡大している。

実は、この記事とは関係なしに、とあるプライベートバンクからこの話をタイムリーに聞いていた。ダイソンのオフィスはセントーサ島の入り口付近にある。倉庫を改装して、お洒落なヨーロッパ風の建築にしている。

やはりシンガポールには富が集まっている。

シンガポール、高級住宅の取引細るーかつては月額賃料1600万円も(日本語)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-10-31/S3DD9NT1UM0W01

マネーロンダリング、外国人購入者への大幅増税、金利上昇を受け、

高級バンガローの販売件数が冷え込んでいる、との報道。

シンガポールの国土は、東京23区くらいの大きさであり、

密集しているため、不動産価格も上昇している。しかしながら、外国人の不動産購入の際の税率を60%と、従来の2倍に引き上げることで沈静化しようとしているが、まだまだ収まらないだろう。一方で、街を歩けば、まだまだ建設ラッシュが続いていることがわかる。今年8月には、日本のゼネコンである鹿島建設も、アジア本社の自社オフィスビルを建設し、パナソニックと共同で、新たな価値を創出するための実証実験施設を開設したという。

シンガポール、車を買う権利が史上最高の1600万円(日本語)

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM101YU0Q3A011C2000000

渋滞混雑を防ぐための台数制限が目的で制定されている車を買う権利(COE) の価格が、1,600万円にも上昇し、世界一高いと言われている、との報道。公共交通機関で十分と思うが、車への需要はなくならず、富裕層が価格を釣り上げているのだろう。アメリカでは、イーロンマスク氏が渋滞に我慢できないといい、地下に高速を掘る会社を作って、進めている。シンガポールにもこのようなイノベーターが欲しい。金融は立派であるが、テック業界や世界を変える!という熱い気持ちを持った起業家はそこまで多くないと感じる。

富裕層のワークライフバランス満足度、アジア最下位はシンガポール(日本語)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-11-02/S3HE9DT1UM0W01

スイスのプライベートバンク、ロンバートオディエの調査によると、投資可能資産1.5億円の富裕層のうちワークライフバランスに満足している人は30%にとどまり、アジアで最も低いことがわかったとの報道。

何のための調査かわからないが、

シンガポールは金融や税制面では大きなメリットを享受できる国であるが、国土が狭くアクティビティも多くはないため、飽きる人も続出するという。

実際に、こちらにきてからお会いした方の話によると、10年以上前にきた日本人で一通りの生活を経験した人達は日本に帰国する人も多くなっているという。

どこの国でも、働く人は働くので、シンガポールに限った話ではないと思うが、よりストレスがかかりやすい環境であることには間違いないだろう。ただ国土が狭い分、移動が便利であったり、飛行機で近隣諸国へ行ったり、日本へ戻ったり、移動することはシンガポールのメリットである

4.金融コラム/ さくっとシンガポール経済

シンガポールの経済状況をさくっと書きます。

シンガポールの人口は約560万人と日本でいうと兵庫県と同じくらいの人口規模です。

約60%が自国民で、40%が永住者や非居住者になります。

GDPは5220億円SGD(約57兆円)と日本の560兆円と比較すると、約1/10ほどですが、

人口がたったの560万人であるため、一人当たりのGDPをみるとかなり大きいことがわかります。

主要産業に関して、シンガポール=金融というイメージが強いですが、
メインの産業は製造業でありGDPの約21%近くを占めています。

化学、メディカル、輸送機器、精密機器などがあげられます。

次に大きな産業として、サービス業です。
サービス業の中でも、卸・小売り、ビジネスサービス、

金融業が大きな割合を占めています。

さて、次に今年の経済をみていきます。

2023年上半期、シンガポールの成長は停滞しました。米国経済の回復と中国の経済再開にもかかわらず、第1四半期は前年同期比0.4%、第2四半期は0.5%に減速し、
2022年第4四半期の2.1%から低下しました。

特に第2四半期の個人支出が弱く、前年同期比わずか2.4%の増加にとどまっています。

オレンジ:シンガポールGDP成長率

(出所:Bloomberg)

パンデミック後に個人支出が増加しましたが、生活費の高騰に直面し、
食品と燃料の価格が再び上昇していることで、消費が抑制されています。

イメージでいうと地元の屋台フードが、日本の定食屋と同じくらいの値段です。1人1,000円前後。

民間の支出成長率

(出所:Bloomberg)

一方で、第一四半期は雇用と賃金が増加しました。

季節調整後の全体的な失業率は、2023年第1四半期(1Q23)と第2四半期(2Q23)に1.9%まで低下し、パンデミックのピーク時である2020年第4四半期(4Q20)の3.4%から下がりました。

しかし、4月以降、失業率はわずかに上昇し、7月には2.0%に達しました。

失業率が増加することで、賃金の伸びが抑制される懸念もでています。

また物価の話になりますが、下記の消費者物価指数をみてわかるように生活費の高騰が続いています。

今日の一言でも言及しましたが、普通のカフェの朝食が20ドル以上したり、

レストランのアルコールも一杯20ドル(約2,200円)するなど、

地元の屋台フードなどを除けば、日本と比較すると、本当に高い、と感じる価格になっています。

シンガポールの平均年収は上昇しており、子供がいる家庭は、夫婦共働きではないと、贅沢はできない状況になっています。独身であっても、外国人の場合は、家賃はすくなくとも30万円/月は支払わないと、住めないでしょう。地元の人は政府が支援しているマンション(日本でいう団地)、海外からの移住者はコンドミニアム(日本で

いうタワマン)に住んでいます。

消費者物価指数

(出所:Bloomberg)

平均月額所得推移(シンガポール中央積み立て基金庁)

(出所:Bloomberg)

またオフィス需要ですが、特に金融業のファミリーオフィス、プライベートバンク、アセットマネージャー(資産運用会社)が大きく貢献しています。これは、シンガポールがデジタル資産投資を受け入れる規制緩和、低税率、政治的安定、ゴールデンビザ制度などに支えられ、引き続き富裕層を魅了しているからです。

さらに、BCG(Boston Consulting Group)の2022年の推定レポートに基づくと、シンガポールへのクロスボーダー(国境を越える)フローは、2026年までに年9-10%増加すると言われています。同時にシンガポール金融管理局(MAS)の年次報告書によると、シングルファミリーオフィス(富裕層の資産を管理する会社)の数は2020年の400から2022年には約1,100に増加し、この傾向は2024年にもさらに続く可能性があります。

やはり、シンガポール経済は金融に支えられていますね。

今週も宜しくお願いします。

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