メルマガ: 95th 「中国リスクが高い日本企業TOP10 /スイス家族経営の終わり/それ欲しい」
【目次】
1.今週の一言/「それ欲しい」
2.記事にコメント/スイス時計王朝、投資信託削減、イーロンマスク、ファミリーオフィス
3.経営コラム/中国リスクが高い日本企業
1. 今週の一言/「それ欲しい」
こんにちは。門垣です。
CCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)の増田さんの著書
「増田のブログ CCCの社長が、社員だけに語った言葉」になるほどと思った言葉がありました。
“顧客中心主義とか、
行動規範の
「お客さんのことを一番知っている人間になる」
とかいうけれど、最近思うこと。
お店を創るのも、Tポイントの営業をするのも、
成功する方法は簡単。
お客さんが「それ欲しい」と思うことを
提案すれば、成約できる。”
です。
代官山の蔦屋は広大な土地にありますが、
顧客はあの場所で、
たくさんの本を求めているというよりは、
ゆっくり、リラックスできる空間が欲しいと
思っていると思う。
そういうわけがあってか、
1階のスタバ、2階のカフェに加えて、
2階の本コーナーを辞めて、
時間制のシェアラウンジができていた。
読書や仕事ができる。それに、空港のラウンジのように、スナックやドリンクがたくさんおかれている。
そうそう、今までのカフェの席数だけでは足りなかった。
こういう空間が欲しかった。
と思ってた人は多かったと思う。
お客様が欲しいことを追究し、実現させていく。
この循環をスピードをもってまわすのが、事業をやる上で、とても大切だなと、意外と忘れがちだなぁと改めて感じた一週間でした。
2.富裕層コラム/記事にコメント
100年続くスイス時計王朝が後継者ロレックスへの売却で終焉(英語記事)
あまりメディアに露出しない秘密主義で有名な100年以上、高級時計と宝石を取り扱ってきたブヘラ一族が会社をロレックスに売却。未上場企業であるため、情報は公開されていないが、約230億ドル(約3,300億円) の売却価格と言われている。
後継者不足が理由にあったとされているが、一族は莫大なお金を手にした。一方で、この時計業界で家族経営を営む会社がなくなり、新たな時代へと突入。伝統を重んじながらも、外の血を入れて会社を大きく、末永く発展させる。
日本もいずれは一族経営から、変化していくのか。
乱立する投信にメス、野村や大和系が大幅削減へ- 動き出した運用会社
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-08-31/RX2WPVT0G1KW01
日本には、公募・私募ファンド(投資信託など)合計14,000本があり、ファンド一本辺りの残高は米国と比較して1/20ほどしかなく、数が多すぎるとの報道。 日本は、信託報酬に加えて、運用会社から営業委託を受けた証券会社や銀行に販売手数料が入るため、資産を増やすというよりは、新しい商品を何度も売る慣習がある。
特に、時流に沿ったテーマ型の投資信託を組成する。正直、顧客側からすると、こんなに商品があったら、どれを選んだらいいかわからない。わからないから、目新しい商品に飛びついてしまう。こんな人が多いみたいだ。
このメルマガで何度も発言してるが、もし投資信託を購入するのであれば、信託報酬が低く、販売手数料がほとんどないETF(上場投資信託)にした方が良い。
アポロ、ブラックロックのベテラン採用- ファミリーオフィス向け強化(英語記事)
https://www.bnnbloomberg.ca/apollo-global-hires-blackrock-veteran-moreno-in-us-family-office-push-1.1965664
世界的な潮流として、PEプライベートエクイティ(未上場企業投資)を運営する会社が、機関投資家だけではなく、富裕層の資産を管理するファミリーオフィスをターゲットに事業を拡大しているという。記事では、米国の大手PE会社アポロが、世界最大の運用会社ブラックロックからファミリーオフィス向けの運用者を雇用したと、報道した。
この流れは、必ず日本にもくる。いや、もう来ている。実際、モノリスにも、あらゆるファンド会社が、自社の商品を売り込みに営業をしてきているからだ。
そして我々も運用プロフェッショナルの強化に時間を費やしている。金融業界のパワーバランスは、銀行→証券会社→資産管理・運用会社と移り変わってきている。もう銀行の時代は終わったのだ。
深夜休日勤務を強いて社員を痛めつけるイーロン・マスクにヤッカリーノCEOは無言。それがXの現実
https://www.businessinsider.jp/post-274496
イーロンマスクが、テスラ、スペースX、X(旧twitter)を経営しているがゆえに、各会社で働く従業員は、マスク氏との打合せが週末に入り、夜の11時まで続くこともしばしばだという。正直これがいいかどうかはわからない。しかし、ポケットマネーをほとんど投資して、未知なる3つの事業に挑戦するオーナー兼経営者であれば、土日に働くなんて想像ができる。
幸せかどうかはさておき、従業員を強制することはよくないが、もし全員が自分自身がオーナーだったらと想像すると、マスクと同じことをするだろう。でも現実はそうではない。この溝はなかなかうまらなさそうだ。
3. 経営コラム/中国リスクが高い日本企業
不動産や原発処理水問題など、
中国に関連するリスクが消えない世の中ですね。
中国の景気減速が著しいなか、当局は不動産業界へのテコ入れ、教育や育児などの減税、また外貨の預金準備率を6%から4%へ引き下げるなど、景気対策を行って金融市場から短期的な好感を得ています。
本日は中国での売上比率が高い日本の上場企業トップ100(対象4010社)を調査しました。(直近四半期の売上高比率の数値データです)
まずは、業種別の会社数と中国売上高平均比率です。
【結論】
・電気機器メーカーが一番多い。30社
・平均比率が最も高い業種は医薬品

(Bloombergデータよりモノリス作成)
続いてトップ10企業です。
トップ10企業の株価変化率(年初来)はほとんど下落していないですね。
各会社、中国での売上が約50%以上を占めています。中国依存ですね。

(Bloombergデータよりモノリス作成)
トップ10企業の会社概要

先ほどのコラムで、日本の運用業界は次々と新しい投資信託を組成して、販売手数料を稼ぐと言及しましたが、上記2位のアクシージア(中国売上高比率89%)は、美容ドリンク【AG ドリンク】を中国国内でEC経由で大量に販売し、ピークアウトに先んじてリニューアルを行う手法で、顧客生涯価値を高めています。
「うるおいのある毎日をサポートする効能」をテーマにトウビシ(ヒシの実の一種)を使って、第6世代まで製造しています。単月で6億円を売り上げるなど、中国経済の悪化を感じさせないですね。
やはり、人は昔から美容にお金を費やします。

経済が悪化しても、お肌は悪化させてはいけないのでしょう。
今週もよろしくお願いします。