メルマガ: 164th 「帰省、今年の取り組み、24年の人類の進化、地球、経済、日本株まとめ」
【目次】
1. 今週の一言/帰省(15秒)
2.モノリスの活動日記/今年の取り組み(15秒)
3. 昨年の経済振り返り/人類の進化、地球と自然、経済と地政学、日本株式市場(3分)
1. 今週の一言/帰省
遅ればせながら、
新年明けましておめでとうございます。
門垣です。
本年もモノリスをよろしくお願い申し上げます。
さて、年末年始は実家のある大阪へ帰省し、ゆっくりと過ごしていました。
久しぶりに梅田へ出かけてみたところ、ニュースで見ていた通り、新しいビルが建設されていて、都心部に自然豊かな憩いの場が増えていました。
大阪の近代的な発展を目の当たりにし、とても感慨深かったです。

大阪は、アジアの都市部の中でも、東京、上海、ソウル、シンガポール、シドニー、香港、北京、メルボルンに次いで9番目に不動産投資が盛んな都市とされています。
また、物流施設の空室率も東京より低く、心斎橋などのショッピング街の賃料も銀座を追いかける勢いで上昇しているとのことです。
外国人観光客の来訪者数も東京に次いで日本国内で2番目に多いですが、
近隣には京都や神戸もあり、関西圏を一気に回れる交通の利便性が外国人観光客を惹きつけているのかもしれません。
加えて、大阪特有の安価で美味しい飲食店や、商売やお笑い文化の賑やかさも大きな魅力になっているのでしょうか。
今年で阪神淡路大震災から30年が経ちます。
昨年、日本では能登半島地震があり、現在はアメリカで大規模な火災が発生していますが、早く復興することを願いながらも、こうした教訓を活かしながら、しっかりとサポートをしながらも、
30年後、50年後の未来を見据えた
立派な都市づくりをしていきたいものですね。
2. モノリスの活動日記/今年のフォーカス
昨年末のメルマガ【第163号 週間モノリス 「感謝」 2024年を振り返って】にも書かせていただきましたが、今年は以下を中心にサービスを強化していきます。
運用サービスとパフォーマンスの強化。一次情報の獲得と情報の質の向上
運用を軸としながらも、お客様の資産管理、銀行対応、税務、相続等のサービスの拡充
お客様が経営する会社への支援(M&A、ファイナンス、各種ハンズオン支援)
サービスのデジタル化
海外超富裕層と日本のお客様のシナジー創出
これに加え、創業当時から思い描いていた「コミュニティ形成」にも取り組みたいと考えています。
モノリスのお客様や関係者の皆様が物理的につながることで、
新たなビジネスの共創が生まれるだけでなく、人と人のつながりの中で、
それぞれが新たな幸せの定義や人生の目標を見つけられるような、
そんなコミュニティを目指しています。
まずは今月から懇親会を開催し、
少しずつ形にしていく予定です。
3. 昨年の振り返り/人類の進化、地球と自然、経済と地政学、日本株式市場
人類の進化
2024年は、人類が一歩進化した年だったと思います。
民間企業による宇宙打ち上げは254回に達し、スペースXの「ポラリス計画」では、民間初となる宇宙遊泳が実現しました。約10分間の宇宙遊泳を行うクルーの姿は、まるでSF映画を現実にしたようでした。

また、日本ではJAXAが打ち上げたSLIM(小型月着陸実証機)が、1月20日に日本初の月面軟着陸を成功させました。
これは日本の宇宙技術における大きな前進でした。
さらに、AIの分野でも進化が進んでいます。
先週、アメリカのAIファンドを運営するCEOとお話しする機会があったのですが、GAFAのような大企業では、採用プロセスを完全にAIで自動化しているとのことでした。
履歴書の確認、面接、採用決定、内定後のオンボーディングまで、
すべてAIで行われているそうです。
コロナ以降はAIへの投資が活発になり、CHAT GPTが到来し、
AIへの意識が変わり始めた世の中でしたが、
現在では、半導体、AIデータセンターなどのインフラ業界が盛り上がるだけではなく、世界各国で活用事例が出てきており、ようやく人類が次のステップへと進んでいく時代になってきたことを感じます。
地球と自然
世界の人口は81億1,900万人を超え、2023年と比べて約7,400万人も増加しました。
また、EUの気象情報機関「コペルニクス気候変動サービス」によると、
昨年の地球の平均気温は、1850年以降で最も高く、
産業革命以前と比べて1.5度上昇したとのことです。
日本の平均気温も上昇し続けており、このままでは四季が失われてしまうのではないかと思うほどです。

私自身も、夏の蒸し暑さを避けて涼しい国に移住し、秋冬だけ日本で過ごすライフスタイルが良いのではないかと思い始めました。
日本は湿気が多く、東南アジア以上に蒸し暑く感じることもあります。
そんな中で、世界が温暖化対策に一丸となって取り組むかと思いきや、
世界的な資産運用会社ブラックロックが脱炭素を目指す国際的な枠組み「ネットゼロ・アセットマネジメント・イニシアチブ」から脱退するというニュースがありました。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN100ZO0Q5A110C2000000
この枠組みは2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにすることを目指しており、325の運用会社が加盟し、その運用額は約7,900兆円と言われています。
運用会社が温暖化対策に取り組む企業への投資を進めている一方で、
実際にはその会社の従業員全員が電気自動車に乗っているわけでもなく、プラスチックを使わない生活をしているわけでもないと思っており、金融・経済業界の表面的な取り組みにとどまっている現状もあるでしょう。
とはいえ、私の前職の創業者であるマイケル・ブルームバーグ氏のように、気候変動大使として、本気で地球を救おうとする勢力も存在します。
彼は莫大な私財を投じて気候変動問題に取り組み、トランプ氏に代わって世界各国のリーダーに働きかけを続けています。
このような活動には心から賛成していますが、私自身も生活のすべてを温暖化対策に振り切っているかというとそういうわけでもなく、自分事として完全に捉えることは簡単ではありません。先日ネットフリックスで【Buy NOW】を見ましたが、GAFAMのような大企業が躍動する中で、すさまじい数のごみが世の中に膨れがっており、逆に大気汚染を加速させてしまっている事実もあります。
世界経済と地政学
さて、経済状況を振り返ってみると、
世界全体的には、インフレの沈静化が進み、OECDによると、昨年の全世界の実質GDP成長率は3集計が着地する見込みです。貿易に関してもコロナから回復基調にあり、通年の貿易量は3.6%上昇で着地するとの集計予想がされています。
このようにマクロの視点や数字だけを見ると順調に
進んでいるように見えますが、
ミクロの視点では、人口増加に伴い、発展途上国の生活インフラが逼迫してきています。教育、医療、電力などをまともに受けることができず、栄養不足や飢餓が増え、社会や治安の悪化が続いています。
生まれ育った環境で社会に対する視点や考え方が変わると思いますが、
実際に目の当たりにすると、人生観が大きく変わります。
私も15年ほど前に東南アジアで見た
生活やインフラが印象的で、いまだに脳裏に浮かんできます。
15年前のベトナム中心地

一方で、身近な日本を見ても、生まれ育った環境によって、
まともな教育を受けられず、食事にも困っている人が少なくありません。
また、戦争もまだ続いています。
特に富裕層の皆様と一緒に仕事をさせていただくと、
ラグジュアリーな夢にあふれる会話が多いことも事実ですが、
ワクワクすると同時に、対局にある社会にも目を向けながら生活していきたいと思います。
日本経済
日本経済は、マイナス金利の終了に伴い、日経平均株価が過去最高値をつけました。
賃金上昇および公示地価も上昇しており、世間では30年のデフレ脱却かと盛り上がっているかと思います。
一方で、昨年はフランスとスイスに出張で行きましたが、特にスイスでは、日本のコンビニで売っているようなサンドイッチが3,000円もして、普通のランチを食べても1万円近くになり、本当に貧乏だと感じました。
50年先を考えたときに、日本は人口減少により、
構造的に成長が鈍化していきます。
しかし、世界第4位の経済大国であり、
世界第3位の株式市場を誇る日本として、人が安心して、心を豊かに生きていくためには、経済力もしっかりとつけていかなければならないと感じています。
島国であること、農耕民族であること、鎖国をしていたこと、
伝統を重んじることなどのバックグラウンドを背景に、
自分たちの強みと弱みを意識しながら、
前を向いて進んでいくことが重要だと思います。
性質的にグローバル展開が不得意な日本人ですが、
ジリ貧にならないためにも、
AIやデジタルを駆使して生産性を向上し、
グローバルで戦うことが、将来30年を見据えたときの鍵となると思います。
日本株(運用チームより)
最後に、日本経済を象徴する日本の株式市場について振り返ります。
世界の主要指数との比較
世界の主要指数(ドルベース比較)では、S&P500 +25%、ナスダック +31%、ユーロストック50 +20%、ドイツDAX +13%、香港ハンセン指数 +19%と比較して、日経平均は +8%弱にとどまりました。円安の影響で見劣りする一年でしたが、フランスCAC -7.9%、豪S&P -0.7%、新興国ブラジルボベスパ -30%よりはアウトパフォームしました。
指数別のパフォーマンス
日本株では、大型指数のコア30と日経平均がアウトパフォームしましたが、東証REITと東証グロース株は2年連続でアンダーパフォームしました。以下は各指数の年間パフォーマンスです:
コア30:+25.4%
日経平均:+20.4%
TOPIX:+18.4%
東証REIT:-8.0%
東証グロース:-7.6%
東証グロースと東証REITの下落は、日本の利上げ局面が嫌気されたことが影響し
ています。一方、米国では利下げが進む中、SaaS銘柄が年後半に一時盛り上がったものの、すぐに鎮静化しました。REITについては不人気が続いていますが、利回りは再び4.9%まで上昇しています。
円安が加速した影響で、外国人投資家にとって日本株の時価総額が相対的に低下し、投資対象が主要大型銘柄に絞られている印象です。実際、MSCIワールドインデックスにおける日本株比率は現在5.6%と、2017年の約8.5%から大幅に低下しています。来年も引き続き大型銘柄優位の展開が続きそうです。
業種別のパフォーマンス
以下、セクターごとの動きを整理します。
上昇セクター
保険
保険セクターが最もアウトパフォームしました。MSAD +88%、SMPO +82%、東京海上 +63%と、大手損害保険会社が軒並み上昇しました。背景には持ち合い株解消の加速があり、各社が「還元マシーン」と化したことが影響しています。特に自動車セクターとの持ち合いが進む中で、トヨタが年末にROE20%を目標に掲げ、ポートフォリオ改革への期待感が高まりました。これが自動車株にも波及し、セクターラリーを引き起こしました。
非鉄金属
非鉄金属では、フジクラが年初来で+520%の大化けを果たしました。AI関連株や電力需要のテーマにしっかりと乗った電線株がセクター全体を牽引しました。
銀行株
マイナス金利の解除と利上げ局面で銀行株は乱高下しましたが、結果的に大幅上昇となりました。トップパフォーマーは楽天銀行で+112%。メガバンクも安定して上昇し、SMFG +64%、みずほ +61%、りそな +60%、MUFG +52%と、買っておけば安心の一年でした。
石油石炭
石油精製銘柄では、ENEOS +49%、出光 +35%、コスモ +23%といった上昇が見られました。背景には還元強化への期待や、ENEOSのJX金属上場計画がありました。時価総額は約7,000億円とされ、来年も注目のテーマです。
その他の注目セクター
百貨店や、ZOZO、リクルートといった小売やサービス業、DeNA(ポケポケ)の復活など、個別銘柄が目立つセクターも上昇しました。
下落セクター
内需ディフェンシブ
運輸(陸運・空運)、鉄鋼、化粧品(資生堂やコーセー)といった内需ディフェンシブ株はアンダーパフォームしました。資生堂は2年連続で下落が目立っています。
REITとSaaS
REITは利回りが上昇しているにもかかわらず不人気が続き、外国人投資家の関心が低い状況が続きました。SaaS銘柄も年後半の一時的な盛り上がりを除けば低調でした。
その他のセクター
紙パルプ、ゴム、食品、水産農林などのセクターも低調でした。化学セクターでは資生堂などの化粧品株が下げを牽引しました。
こうした市場環境の中で、ロング(買い)とショート(空売り)を駆使した株式アクティブ運用サービスは、TOPIXを大幅にアウトパフォームしました。
今後も引き続き、仮説を立てて各企業の一次情報を獲得し、
皆様に利益と考え方の付加価値をもたらせるよう努めてまいります。
本年もよろしくお願い申し上げます。