メルマガ: 160th 「番外編/スイス出張 一部活動内容をちらっと報告」
【目次】
1. 今週の一言/モノリスの活動日記
1. 今週の一言/モノリスの活動日記
こんにちは。門垣です。
現在、週末をスイスで過ごしています。
先週から約1週間、ジュネーブとチューリッヒを訪れていました。今回の旅の目的は、ヨーロッパの超富裕層と進めているプロジェクトに関する話し合いでしたが、その他にも以下のような活動を行いました。
その他超富裕層との面談やパーティーへの参加
スイスにおける金融機関の新規開拓
ヨーロッパに広がるファミリーオフィスとの関係構築
ワインや時計といった高級品関連のネットワーク形成
具体的な内容についてはメルマガ内では触れることができませんが、一部の話題は、お客様専用ポッドキャストや対面での会話を通じてお伝えしたいと考えています。
今回のメルマガでは、金融機関やファミリーオフィスに焦点を当て、今回の訪問で得た学びを共有します。
ジュネーブ夜景

スイスにおける富裕層ビジネスの現状
モノリスは銀行ではなく、ファミリーオフィスとして、資産運用や管理、お客様が経営する事業サポートといった幅広いサービスを提供しています。こうした背景から、スイスやシンガポールの金融業界と関わる機会があります。
ちなみに、来年2025年1月から唐沢寿明さん主演のテレビドラマ『プライベートバンカー』が放送される予定で、日本でもこの分野への関心がさらに高まることでしょう。
https://www.tv-asahi.co.jp/private-banker

スイスの金融機関は、元々傭兵たちの資産管理をルーツに持ち、その後、1815年のウィーン議定書で中立国となったことで世界中の資産家から信頼を得るようになりました。
第一次世界大戦後には、財産没収のリスクを避けるため、各国の富裕層が資産をスイスに預け始め、世界的な金融拠点へと成長していきました。
今回の旅を通じて、多くの知見を得ました。その中から、焦点を絞り、以下の3点についてお話しします。
余談ですが、個人的には、プライベートバンクの聖地チューリッヒよりも、ジュネーブの街を歩いてみると、洗練された雰囲気が漂い、特に富裕層の存在感を感じました。
スイスは依然として富裕層の「聖地」か?
結論として、スイスは依然として富裕層にとって特別な地位を占めています。
ヨーロッパはもちろん、アジアの資産家たちもスイスに口座を保有しています。
シンガポールや香港などのアジア圏にも金融大国がある中で、スイスが選ばれる理由は、地政学的リスクの分散にあります。例えば、シンガポールは安定した政治環境を持っていますが、世界情勢の変化によってどこで何が起きるか分からない不確実な時代です。昨今の韓国がまさにその例です。
そのため、資産家たちは金融商品の分散だけでなく、保有国や利用機関を分散させることでリスクを抑えています。
金融規制の厳格化やマネーロンダリング対策により、日本在住者がスイスで新規に口座を開設するのは以前よりも難しくなっています。
いわゆる大手の金融機関が、口座開設を慎重に進める傾向があるためです。
そのような中で、ジュリアスベアが野村證券との合弁会社を設立し、日本市場にサービスを提供したり、LGTが日本に進出して現地拠点を構えるなどの動きがあります。
Julious Bar本社 チューリッヒ

ただし、これらのサービスは、現地の質をそのまま提供するものではなく、国内市場向けにアレンジされた形になっているため、あまり現地のプライベートバンクサービスを享受できるといえません。
一方で、日本居住者が直接スイスに口座を開設できるケースもあります。表向きには難しいとされていても、関係性や状況によって柔軟に対応する金融機関も存在しています。
また、ヨーロッパの資産家たちは、中東に資産を移転することで地政学リスクを回避しようとしています。中東に対して否定的なイメージが強い日本(日本では多くの犯罪者が中東に行く事例があるため)とは対照的に、欧州の富裕層は、この地域の金融環境の安定性や規制緩和に魅力を感じています。
各金融機関のサービスに差はあるのか?
現地の金融機関間で大きな違いはないものの、提供される付加価値やサポート内容には少し差があります。
例えば、資金調達スキームやボーディングスクールの紹介、ライフスタイルを支援するサービス、金や宝石などの現物資産の管理といった領域での違いがあります。
日本人に馴染みのあるスイスの金融機関としては、UBS、旧クレディスイス、ジュリアスベア、Pictet、ロンバーオディエなどが挙げられます。しかし、これらの大手だけでなく、プライベートバンク業に特化したブティックの金融機関も注目すべき存在です。
UBS本社(チューリッヒ)

サンプル銀行
・Bordier & Cie(ボーディエ)
・Rahn + Bodmer(ラン・アンド・ボドマー)
・E.Gutzwiller & Cie Banquiers.(ガットウィラー・バンカース)
・Reichmuth & Co. Private(ライヒムース)
・Mourgue d’Algue & Cie(モーグ・ダルグ)
・Gonet & Cie(ゴネ)
・Mirabaud & Cie(ミラボー)
・Landolt & Cie(ランドルト)
・LGT (リヒテンシュタイン)
個人的には、このようなプライベートバンクだけに特化した ブティックの銀行の方が好きです。
Bordier & Cie 本社

理由としては、未上場であること、かつ創業家がいまだにオーナーであり自らお金を入れていることから、クライアントとベクトルが同じであり、何事にも非常に柔軟であるからです。
いまだにオーナーが署名をして意思決定をするなど、またクライアントの要望にも柔軟に答えてくれる傾向があります。
大手のブランドは信用力があると思われがちですが、破綻するリスクがゼロではないことは、クレディスイスの例からも明らかです。
クレディスイス本社 チューリッヒ

金融ビジネスの今後の展望
これからのプライベートバンクは、古き良き伝統を守りながらも、 テクノロジーに投資を行い、社内の業務を効率化させるだけではなく、よりクライアントにとって利便性の高いサービスを届けるようになってくると思っています。
クライアントのデータベースを徹底的に管理し、しかるべきタイミングで付加価値の高いサービスと情報を届けることで、ニーズを満たすようになります。
これはあくまでも個人的な予想ですが、クライアント自身も自分の個人資産や会社の資産が一元化され、意思決定もボタン一つでできるようになります。さらに、眼鏡やコンタクトのデバイスには、自分の資産状況が映し出され、脳による意思決定が行えるようになるでしょう。
また、各金融商品や現物資産はデジタル化(すでに世界中で行われていますが)、より資産に流動性が出るようになります。例えば、今回面談したロシアの石油関連のファミリーの資産を管理するファミリーオフィスは、大手のプライベートバンクを信用していないため、
自らのオフィスの地下に保管倉庫を作り、そこにクライアントが保有する現物のゴールドを保管しています。世界の金取引の半分以上がスイスで行われていることから、川上から購入しています。
また、このゴールドの資産を担保にトークンを発行し、デジタルで金取引が行えるような仕組みを整えています。衝撃だったのは、彼らが銀行ではなく、ファミリーオフィスであることです。
一般的なファミリーオフィスは、富裕層や家族の資産管理、相続、教育、事業支援などを行いますが、ファミリーオフィス自体も新しいテクノロジーに投資を行い、産業をつくっています。
また、別件でジュネーブの世界で最も資産価値の高い保税倉庫にも入る機会がありましたが、そこには高級ワイン、アート、ゴールド、ジュエリーなど、超富裕層の資産が厳重に眠っていました。
スイス保税倉庫 ジュネーブ

最後に、事業は「ヒト」「モノ」「カネ」で成り立っていますが、「カネ」は最後であり脇役で、
決して主役ではありません。
しかしながら、資金に関する知識がなければ、「ヒト」や「モノ」、事業を最大限に活かすことができません。
特に幼い頃からファイナンス教育を受けていない日本人にとって、これは大きな弱みとなっています。
言い換えれば、土台となる金融知識や世界中の情報を集め、それをもとに個人や家族の資産管理はもちろん、事業にも活用していくことで、よりそれぞれの目標に近づくことができるでしょう。
モノリスは、その一助となる役割を担いたいと考えています。
今週もよろしくお願いします。