メルマガ: 145th 「日本一の富裕層の/メンズショップから情報製造小売業へ」
【目次】
1.今週の一言/ユニクロ
2.モノリスの活動日記/レポート
3. 富裕層の公然の秘密/日本一の富裕層 柳井 正
1.今週の一言/ユニクロ
こんにちは。門垣です。
週末は、ユニクロについて描かれた著書【ユニクロ】を読破。
山口宇部のメンズショップ小郡商事から、
世界のファーストリテイリングになるまでの軌跡を描いた本。

内容は割愛しますが、ココ壱番屋でカレーを食べながらも、理容室で髪を切りながらも、暑い中、街を歩きながらも夢中になって読んでしまいました。
誰もが疑うような高い目標を設定し、逆算をしながら
常にグローバルに目を向けて、世界中の外部人材に頼りながらビジネスを推進。
一方で、ビジネスの主戦場である現場の店舗とローカルを最も大切にし、ユニクロ社内大学と現場実践を通して人を育てながら、
どこまでも【ユニクロとは何ぞや】という思想、哲学的なものを追求する
柳井さんのスタイルには勉強になったというか、刺激になったというか、共感したというか、そんな気持ちになりました。
私もモノリスを共同創業したときから、「モノリスとは何ぞや」
を手帳に書き続けたり、経営合宿で全員で議論したり、
特に、手触りのある物を作ってもない、売ってもない、
金融の無形サービスでビジネスをしているからこそ、
この思考を言語化することが大切だと強く思っています。
地面師のような詐欺師の話もスリルがあっていいですが、次世代の世界にも勝る実業家人材を増やしていくために、ユニクロのような日本が誇るグローバル企業の秘話を、ネットフリックスにも届けてほしい、と感じました。
2.モノリスの活動日記/レポート
先週配信レポート
【113号 米国ウェルスマネジメント業界で進む「顧問料」型へのビジネスモデル変革】
今週配信レポート
【スマート機導入の遅れていたパチンコでの7月内規変更が業界に与える影響】
3. 金融コラム/日本一の富裕層 柳井 正
今回は、日本一の富裕層柳井氏について調べてみる
柳井一族とは直接のネットワークがないため、公開情報や人から聞いた2次情報がメインだ。
個人的に聞いた、ユニクロと柳井さんの想い出話は、私が学生の時に留学していた香港時代。
当時、ユニクロがアジアに力を入れており、旗艦店舗を香港で出すときに柳井さんが来ていた。
日本で同じ大学に通っていた同級生の友人も香港に留学していたのだが、どうしてもユニクロに就職したいという想いで、常日頃からユニクロについてリサーチをしていた。
そして、彼は香港のオープニングセレモニーで念願の柳井さんを目にする。
ミーハーにも団扇にサインをもらいながら、名刺までもらい、【ユニクロに入りたいです】と直談判をしたというストーリーだ。
余談ではあるが、友人は、柳井さんと正反対のルックスで、EXILEが好きであり、長髪の茶髪でいかにもイケイケな感じだ。
そんな学生がいきなり柳井さんに対して、ユニクロはもっとこのようにしたら良い!
という熱い想いをのせたアイデアを紙に書き、渡しその場を去った。
後日人事部から連絡があり、驚くべきことに東京へ来るように依頼があった。
その場では、手紙に書いたアイデアの詳細を聞かれ、友人は熱く語った。
その後、内定の通知があった。
さらに、450人の入社式では代表スピーチをしたのだ。
行動を大事にし、勇気を振り絞る学生を快く受け入れる柳井さんの
素敵なストーリーだ。その場で、友人から聞いたときは、鳥肌が立ったことを覚えている。
当時の柳井さんと友人のツーショット写真は、いまだに彼のフェイスブックに残っている。

(上記写真はウェブより抜粋)
資産
柳井氏は、日本一の富裕層であり、フォーブスジャパン2023年の発表によると、約4兆9700億円の資産を保有する。
資産形成は、上場時の売り出し、配当、自社株売却、そして資産運用で行ってきた。
ファーストリテイリングの時価総額は約14.5兆円だ。(8/23時点)
柳井氏は、個人で16.78%、時価にして2.44兆円を保有している。
また、個人での資産保有に加え、柳井氏の資産管理会社、TTY Management B.V.でも所有。
同氏はこの会社で、5.01%、約7,200億円を持っている。
有名な話ではあるが、TTY Managementはオランダ籍の会社で2010年に設立されている。
オランダ籍の会社は一定の条件を満たせば、資本参加免税制度が適用され、配当金や譲渡課税が免税されるからだ。
条件としては、特に事業に積極的に従事する中間持株会社であることや、投資先事業とオランダ事業間に関連性があること、5%以上の保有をすることや、普通の資産運用会社ではないことなどが上げられる。
ファーストリテイリング株主一覧

(出所:Bloomberg)
2024年の配当予想は、期末225円、年間で400円を予想している。
柳井氏と資産管理会社の保有数合計は、69,321,852であるため、単純計算だと、年間で277億円の配当を受け取っていることになる。
ちなみに、息子2人も同率の4.51%をそれぞれ保有しており、現在の時価だと6,550億円の評価となる。息子たちの配当はそれぞれ57億円だ。
一方で、柳井氏は2023年頃から自社株を売却し始めている。
特に今年5月には約300万株、
金額にして1,300億円だ。
下記の写真の赤いマークが柳井氏が自分の株式を売却した日付だ。

(出所:Bloomberg)
売却の理由は様々あるとみられるが、日経平均のキャップ調整比率が一因ではないかと言われている。
財団
柳井氏は2017年に公益財団法人柳井正財団を設立した。
https://www.yanaitadashi-foundation.or.jp

(ウェブサイトより抜粋)
この財団は、次世代のリーダーを育成するために設立された。奨学金や留学フェローシップ、国際文化交流の機会を提供し、若者の成長を支援している。財団の目的は、個人の考えと行動をサポートし、社会と世界に貢献することである。
これは柳井氏の原体験、特に学生時代の海外旅行、ユニクロの初期時代の海外出張での学びが背景にあるからだと思われる。
これまでに約233名以上の学生を支援、総額51億円を投資している。
https://www.yanaitadashi-foundation.or.jp/achievement
スポーツとゴルフ
柳井氏はゴルフ好きで知られており、渋谷の自宅にはゴルフ施設もあるという。

(ウェブより抜粋)
2009年にはハワイ・マウイ島のカパルアリゾート・プランテーションコースを約5,000万ドルで購入し、さらに2010年にはKapalua Bayを約2,410万ドルで購入している。一時期、プランテーションコースは、改修が必要になった。
トータルで1,100万ドル以上の費用がかかると見込まれていた。もし改修すると、ゴルフコースは約30,000ラウンドを逃し、約800万ドルのプレー料金とさらに多くの小売および飲食収入を失う可能性があったが、赤字覚悟でこれも設備投資をしたとか。
プランテーションコース

(ウェブより抜粋)
アートとクリエイティブ
柳井氏はアートへの情熱でも知られており、世界のトップ200のコレクターに選ばれている。ニューヨーク近代美術館(MoMA)ともコラボレーションし、UTブランドを通じて様々なアーティストとのコラボレーションを行っている。
また、柳井氏の経営哲学には、アートとクリエイティブが深く関わっており、経営の数値化や可視化だけではなく、経営者として創造性を融合させることに重きを置いている。
ニューヨーク近代美術館

(ウェブサイトより抜粋)
子供たちへの教育
前述したが、柳井氏には2人の子供がおり、それぞれが素晴らしいキャリアを築いている。
長男の一海氏はボストン大学を卒業後、ゴールドマンサックス証券を経て、ファーストリテーリングの子会社であるセオリーに入社。現在はファーストリテーリングの取締役として活躍している。
高校はスイスのボーディングスクールへ行ったみたいだが、具体的な学校はわからない。

次男の康治氏は三菱商事を経て、現在はファーストリテーリング取締役兼上席執行役員を務めている。彼らは幼少期からの英才教育を受け、その成果として、今のキャリアを築いていると考えられる。

今週もよろしくお願いします。