メルマガ: 122th 「リターン1900%の英国ファンドの特性は/超富裕層の資金が無利子で助成金として提供」
【目次】
1.今週の一言/ビットコインと情報
2.さくっと先週のマーケット/米国金利上昇、年内利下げはどうなるか
3.モノリスの活動日記/超富裕層の寄付マネーが日本へ
4.金融コラム/日本株へ投資をしているリターン1900%超の英ファンドの特性は
1. 今週の一言/ビットコインと情報
こんにちは。門垣です。
週末は久々に読書。積読していた本棚から
ビットコインのすべてが記されていると言っても過言ではない、【デジタルゴールド ビットコイン その知られざる物語】を取り出しました。
詳細は割愛しますが
(ビットコインに興味がある人にはぜひ読んで頂きたい本)
2009年にサトシ・ナカモトの構想から、様々なプログラマが関与し、世界に浸透するようになっていったビットコインですが、最初の通貨としての取引は
ピザ一枚の出前=1万BTCでした。
今の価値で換算すると、ピザ1枚 997億円です。
この時は詐欺だとかいわれていましたが、テクノロジーに理解がある人達の世界では、信じられないほどの革命で、それを全員で協力しながら改善し、15年の時を経て証明されていますね。
私が初めてビットコインを購入したのは2015年。
いつも海外の情報を集めている前職の先輩と珈琲を飲んでいたときに、【これ面白いよ。買った方がいいよ。ボラティリティが凄すぎる(価格の変動率)】と言われ、
びびりながら、不安になりながらも、
最初は3万円を入れ、少しづつ購入していきました。
(ちなみに、誤解を招くので先にお伝えしますが、まったく富裕層になっていません….。笑)
本を読みながらあらためて感じましたが、
やはり海外、特にアメリカは時代が先に行ってます。
いまはテクノロジーの進化により世界との差が縮まっていると思いますが、チャレンジしやすい環境と文化があり、失敗を恐れない人が多いため、
次々と新しいものが生み出されています。
学生時代にサンフランシスコに留学をしていたのですが、週末はバーベキューパーティみたいながあちこちで開催されていて、当時はTwitter(現X)で働いている日本人の方がいました。その時は、創業数年でしたが、
今思えば、その方の話は最先端を行き過ぎて、
学生の私は何を言っているか理解できていませんでした。
それが今はグローバル大企業です。
昔も今も情報がすべての時代。
やはり海外の鮮度ある価値ある一次情報を集めにいかないといけないなぁー
と感じた一週間でした。

2. さくっと先週のマーケット/ 米国金利上昇、年内利上げはどうなるか
先週は、米国金利上昇と株価下落の一週間となった。
12日に発表された米国消費者物価指数(コアCPI)が、予想0.3%、実績0.4%と市場予想を上回る結果となり、インフレが鈍化していない兆候が示された。
これを受けて米国10年金利は、4.07%から4.30%へと上昇し、利下げ期待が強まった。米国株では、アドビの決算(売上と営業利益)が予想を大幅に下回る結果となり、テクノロジーセクターが売り越しとなった。日本市場においては、今週18/19日に開かれる日銀の政策決定会合でマイナス金利解除への動きがでるとの観測が強まり、債券相場は下落(金利上昇)。政策変更に最も影響を受ける銀行セクターが売り越し-6%となった。
S&P業種別騰落率

(出所:Bloomberg)
東証株価指数業種別パフォーマンス

(出所:Bloomberg)

(Bloombergよりモノリス作成)
3.モノリスの活動日記/超富裕層の寄付マネーが日本へ
昨年10月2日に配信した
【週間モノリス第99号 LGT銀行 知らなかった米国寄付の実態 日本上場企業労働分配率ランキング】でアメリカの超富裕層が活用する節税・寄付スキームDAF(ドナー・アドバイスド・ファンド)について取り上げた。
DAFは一言でいうと「税控除が可能な慈善寄付口座」。
超富裕層が、公益法人(スポンサー)に資産を寄付することで、税控除が受けられる。そのお金は、スポンサーが指定したファンドで運用され、その後、寄付者の意思に基づき、非営利団体に寄付される仕組みだ。
代表的なDAFスポンサー
一番大きいスポンサーはフィデリティ

お金の流れのイメージでいうと、
①超富裕層寄付(税控除受ける)→②Fidelity Chartiable Gift Fund がその資産を運用→③寄付者の指示を受けて非営利団体に寄付。
世界にはかなりの数のスポンサーとファンドがあるが、とある米系のスポンサーの話が弊社に舞い込んできた。
非営利団体ではなくても、プログラム概要に沿う事業であれば、この資金を助成金として受け入れることができる。条件は諸々あり、審査もあるが、金利はなしだ。
比較的規模が大きいため、
最低数十億円以上の助成金を活用できる事業が必須。
最近、弊社には国内のみならず、海外の超富裕層関連のの話が舞い込むようになってきた。
情報格差をなくし、
最良の意思決定をサポートするためにも、
世界中の情報を収集し、
お客様に価値ある鮮度ある情報をお届けしていきたい。
※SDGs関連の事業を行っており、上記の話に興味がある方は、詳細を共有しますので、ぜひお気軽にご返信ください。
4.金融コラム/日本株へ投資をしているリターン1900%超の英ファンドの特性は
富裕層、年金基金、財団等のお金約5兆9,000億円を、
米国外の過小評価されている企業の株へ投資をする
英運用会社【シルチェスター・インターナショナル・インベスターズ】のリターンが、1994年以来、年10%のパフォーマンス、累計で1931%になり話題になっている。
リターン1900%超の英ファンド、投資先の日本で長い沈黙破る
シルチェスターは元モルガンスタンレーの資産運用部門の責任者のバット氏と同僚が共同で立ち上げた会社だが、日本企業へも積極的に投資をしているとのことなので、どのような運用スタイルでやっているのか調べてみた。
まずは業種から。

(出所:Bloomberg)
公表されている投資銘柄は109銘柄。
そのうちポートフォリオの内訳で最も大きい割合を占めるのは金融業だ(21%)。続いて、工業(19%)、通信(12.7%)、ヘルスケア(12.6%)となっている。
金融業の中で、一番大きな投資をしている会社は、
英国のグローバル資産運用会社アバディーン。
運用会社が、運用会社に投資をしていることになる。
アバディーンは、競争が激化する運用業界で、資金流出が続いていて、株価も低迷しているが、投資先売却による収益の獲得でなんとか底を支えている状況だ。
また、組織改革によるコストの圧縮で好転を狙う。
一方で、体力をつけるために利益はキャッシュとして確保しているため、自社株買い等のリクエストには答えてない。
おそらく、シルチェスターはこのあたりの株主還元ポイントを狙って、投資をしているのであろうか。
アバディーンの株価推移

(出所:Bloomberg)
次に、シルチェスターの保有銘柄の特性を分析。
今回特性は主に
①サイズ(時価総額)
②モメンタム(過去12カ月の株価のパフォーマンスを加味したもの)
③クオリティ(ROE/ROA等の財務状況)
④バリュー(割安/割高等の指標)
⑤低ボラティリティ( 低い変動率)
⑥グロース(売上/収益の成長率)
⑦配当利回り
に分類される。

この中でも、対ベンチマーク指数と比較してバリュー(割安/割高)や配当利回りに焦点を置いた投資をしていることがわかる。
逆に企業のサイズ(時価総額)や売上等の成長率はあまり加味していない。
つまり、西ヨーロッパとアジア諸国の、
割安で配当利回りが高い、あるいは高くなるポテンシャルがある株へ投資していることになる。
最後に、日本企業への投資については、公表ベースで41銘柄実行している。
こちらも同じく金融業への投資が多いが、除く金融業で一番大きな投資をしている銘柄は【ヤマハ発動機】だ。ヤマハ株の約3%を保有している。
ヤマハの株価推移

(出所:Bloomberg)
ヤマハにおいて、先月14日に発表された4Q決算では、営業利益は424億円と市場コンセンサス537億円を大幅に下回る結果となった。
一方で、新年度の営業利益計画では、日本会計基準で2,550億円であり、コンセンサス2,539億円となっていることから同水準であり、二輪車事業への販管費の拡大による増収減益予想やマリン事業に関しては350馬力帯の新商品投入による大型領域でのシェア拡大が計画されている。
また、決算と合わせて、上限200億円までの自社株買いを発表した。先月中旬から下旬にかけて、すでに約63億円の自社株買いを行っており、4,659,200株を買い付けている。
過去12カ月の配当利回りは3.63%となっており、証券会社のコンセンサス予想では4%台へ上昇していくと計算されている。
バリュエーションに関しては、過去10年の予想PERの平均値は約11.7倍であるが、現状は7.28倍と過去の平均を下回る水準で評価されている。
予想PER推移
このように運用会社といっても、
様々な運用スタイルがあり、
パフォーマンスも大きく異なる。
シルチェスターは
今後も積極的に日本株に投資をするのであろうか。
今週もよろしくお願いします。