メルマガ: 121th 「村上家東南アジアへ/免税大手のDFSのファミリーオフィス閉鎖/アメリカ著名経営陣が自社株を売却」
【目次】
1.今週の一言/ばったりと、戦略投資
2.さくっと先週のマーケット/先週に引き続き暗号通貨が上昇
3.富裕層の公然の秘密/村上家アジアへ投資、免税大手DFGグループのファミリーオフィスの終焉
4.金融コラム/アメリカの経営者が次々と自社株を売却
1. 今週の一言/ばったりと、戦略投資
こんにちは。門垣です。
今週は、道端でばったりと前職の同僚と遭遇。
冷たい風が強く吹いている中、立ち話で盛り上がりました。今は、ソフトバンクグループ(SG)の戦略投資室で働いているとのこと。
SGはビジョンファンドもありますが、それとは別に社内の自己資金で海外の様々な企業に投資をしているみたいです。
特に、フィンテック企業への投資が盛んで、
「1兆増やしたら、再投資して2兆にする」
という孫さんの精神がなんとも言えないほど強烈だと感じました。
一緒に働いていた人たちが、様々なな方面で活躍しているのは、嬉しいなぁと感じた一週間でした。
2. さくっと先週のマーケット/ 先週に引き続き暗号通貨が上昇
先々週に引き続き、
ビットコイン上昇+9.86%の週となった。
日本市場では、週の前半に日経平均初の40,000円台で終値を付けた。春闘(毎年2月頃から行われるベースアップ等の賃上げ/労働関連に関する運動のこと)において、昨年を上回る賃上げが期待されていることや、消費者物価が安定の2%に近づいていることを受けて、利上げの見通しが高まり、金融株等が上昇した。
一方、欧州(ECB)のラガルド総裁は、同じくインフレ率を2%への低下を目標しているが、2025年に達成すると見込んでいる。いまだ確実なデータはないものの、6月には多くのことがわかると示唆している。米国に関しては、アップルの中国販売台数が予想を下回り値引きしていることや、テスラのドイツ工場の閉鎖が米国株式市場の重しとなった。

(Bloombergデータよりモノリス作成)
3.富裕層の公然の秘密/村上家東南アジアへの投資、免税店大手DFSグループのファミリーオフィス閉鎖
村上世彰氏の次女らがVC設立、創業初期のスタートアップに投資(日本語)
物言う株主で有名な村上氏(村上ファンド)の次女である村上玲氏が、東南アジアや中東のスタートアップ企業に投資をするベンチャーキャピタル(VC)を設立する、との報道。
日本の投資家に出資を募るとあるが、最近はこの手のVCがでてきている。東南アジアは、平均年齢が約30歳であり、これからさらに経済成長を遂げる地域である。
これらの国は日本ブランドが受け入れられやすく、日本企業がファンドに投資をすることによって、ただ単に資金提供するだけなく、出資先の企業とコラボレーションする戦略投資の位置づけになるためトレンドになっている。今回、村上氏は日本人であるが、アジア系のVCが同様の理由で日本に来日することも多い。
ちなみに弊社にも海外VCから日本人投資家の出資の相談がきている。

(記事より抜粋)
免税店億万長者のファミリーオフィスが投資チームを閉鎖(日本語)
免税店のチェーン【DFSグループ】で巨額の富を得たロバートミラー氏のファミリーオフィス【SAIL アドバイザーズ】が閉鎖する、との報道。
同社は2003年に香港に設立され、20億ドル(約3,000億円)の運用をしていた。今後はこの運用をブラックストーンなどの大手機関投資家に委託することを考えているという。
閉鎖の理由は2つ考えられる。1つは、ミラー氏の年齢だ。1933年生まれであるため今年で91歳となる。子供は3姉妹いるが、一家の資産をまとめて運用することの限界もみえてきたのであろうか。
2つ目は、ファミリーオフィスを運営するためのコスト上昇である。同社は、ミラー氏の資産以外にも、他の投資家の資産を集め運用していた。コストが上昇するにもかかわらず、投資家からはリターンを求められ、最終的には自身のお金だけを運用する方針に切り替えた。
ファミリーオフィスは、免許の維持や金融庁への対応、従業員の報酬、オフィス、調査代、システム費用等、莫大なコストがかかることが事実だ。昨今は、部分的に業務委託をする傾向もある。
ちなみに、DFGグループ共同創業者のフィーニー氏は、すでに他界しており、自身の資産8億ドル(約1.100億円)を慈善事業に寄付している。ミラー氏は、どのように資産を残し、世の中に分配していくのであろうか。
ミラー氏

(ウェブより抜粋)

4.金融コラム/アメリカの経営者が次々と自社株を売却
株式市場、暗号通貨市場を筆頭に金融市場が
大きく伸びている一方で、
米国の著名経営者が自社株を売却する
トレンドが現れてきた。
日経新聞の報道
米経営者、自社株売り増加 相場の【天井シグナルか】
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN290IQ0Z20C24A2000000
過去のデータをみると、経営者の売却後は、
株式市場が軟調になるともいわれている。
そこで、今回は過去1カ月以内に株式を売却した
経営者トップ10を調べてみた。(取引額順)

(Bloombergデータよりモノリス作成)
1位はアマゾンドットコム。
過去1カ月間の売却累計額は約1.1兆円
(USD 7.54 billion) で、発行済み株式数の約0.43%を占める。
ちなみにアマゾンの時価総額は約271兆円(USD 1.1,863 billion)あるため、株価には大きな影響はないが、将来的な雲行きが怪しい。
下記は、株価のチャートと経営陣の売却・
購入履歴をマークで示したものだ。
赤色:売却、緑色:購入

(出所:Bloomberg)
昨年から赤色マーク(売却)が
多くなっていることがわかる。
実際に、以下の経営陣が売却している。
ジェフベゾス: アマゾン創業者
アンドリュージャシー:現アマゾンCEO
ジョン・ルビンスタイン: 実業家兼アマゾン社外取締役

Herrington Douglas: Worldwide Amazon Store CEO
McGrath Judith:取締役
(Bloombergデータよりモノリス集計)
アメリカでは、SEC(証券取引委員会)が
制定した【10b5-1】、インサイダー取引(経営者や創業者)による自社株の売買ルールに基づき、売却計画等を策定する必要がある。
指示通りに売買した場合、インサイダー取引で摘発されるリスクが軽減されることから、多くの経営者はルールに従って取引を行っている。
売却の理由は、個人的な資金ニーズ、価格の過熱感による売却、富の再分配、税金関係等色々あり、人によっても異なるが、今回の売却に関しては米国株式市場の過熱感が要因としてあげられている。
日経新聞の記事にあるように、メタ社のマークザッカーバーグやウォールマートのファミリーオフィスである【WATON FAMILY HOLDINGS TRUST】、ラルフローレン社のCPO(チーフ プロダクト オフィサー)、NVIDIAの取締役Coxe Tenchが売却。
米国の経済は鈍化していくのであろうか。
今週もよろしくお願いします。