メルマガ: 86th 「今年上半期終了/金融庁からの告白/Apple時価総額世界最大へ」
【目次】
1.今週の一言/メルマガについて
2. モノリスの活動日記/金融庁からの告白
3.金融コラム/上半期終了 ETF(上場投資信託)のパフォーマンスはいかに
4.経営コラム/歴史的偉業 Apple 時価総額3兆ドル突破
1. 今週の一言/メルマガについて
こんにちは。門垣です。
無料のメルマガを書き始めてから、
86週間が経ちました。
皆様にとって、有益な情報をタイムリーに
お届けできるように、と思っていますが、
個人的にはまだまだ、だと感じています。
毎週月曜日の朝に、ワクワクする、
楽しみにできるような、
そんな内容にしていきたいです。
そこで、
・もっとわかりやすく書いて欲しい
・こういう情報があれば欲しい
・○○ジャンルも書いて欲しい
・構成を変えて欲しい
など、ぜひみなさまのお声を聞かせてください。
いつもメルマガを読んでいただき、本当にありがとうございます。
2. モノリスの活動日記/金融庁からの告白
今回は、金融庁が今年4月に公表した
「資産運用業高度化プログレスレポート
2023 信用と透明性の向上に向けて」
について。
金融庁が、資産運用業界に対して、
あらゆる提言をしています。
弊社でも、【第63号 週刊モノリス
至急見直してください!! 損する投資信託
VS 得する上場投資信託 】では、
運用業界のからくりを告白していますので、
ぜひご覧ください。
さて、こちらは日本の資産運用市場の
現状を知るための報告書と言えますが、
一言で表すならば、投資信託・ETFが全世界で
約7,900兆円、そのうち日本のシェアは
260兆円で3%程度という数字が示す通り、
日本は「まだまだ発展途上」
ということでしょう。
金融庁の報告書が指摘している、
日本の運用業界の課題は以下の通りです。
- 「金融機関グループの系列会社が多く、
同じグループ内の販売会社は販売手数料獲得型の営業を主流としており、
状況によっては、販売会社の短期的利益が
資産運用会社の長期的利益に
優先されるおそれがある。」 - 日本では運用担当者の氏名を
公開している公募投資信託は全体の2%程度に
とどまるが、これに対し、
海外では運用担当者の開示が常識である。 - 日本の運用業界では、保有銘柄の透明性を確保するための取り組みが不十分。海外では資産運用会社がリテール向けファンドの全保有銘柄を月次または四半期の頻度で開示しているが、日本では顧客向けの月次レポートでは、保有銘柄のうち残高上位10銘柄の開示にとどまっている。
- 「プロダクトガバナンス」の観点から見ても、投資信託の数が多く、十分に検討されているものが少ない。
具体的な対応策や基準が検討されていない。
プロダクトガバナンスとは、主に投資信託組成段階から、期待リターンを投資家の負担するコストに見合った物になっているか、
組成後も想定した運用が行われて、
コストに見合っているリターンが提供できているか、商品性に合致している運用が
継続可能かを定期的に検証するもの。
- 運用目標や期待リターンが不明確なファンドが多く、また分配金を支払うことで元本が目減りする可能性がある投資信託についても顧客に十分に説明されていない。
つまり、誰が何のための組成された投資信託・ETFであるのか、リターンはどれくらいを目指し、投資家はコストをどれくらい負担し、
どのように維持されていくのか。
グループの運用会社がつくった商品を該当のグループ会社の証券会社が売らなければならない構造をどう脱却して、アドバイスに価値を置く
ビジネスモデルにどのように転換させていくのか。
をはっきりしなさい、
と言っています。
実際に、レポートの中で
金融庁は海外のような「ファイナンシャルアドバイザーが顧客と伴走し、資産運用の目的の実現に向けた資産運用計画の策定と実行の継続的な支援を行うことにアドバイスの付加価値がある」と言及しています。
顧客から継続的な報酬を得ることで、販売手数料の獲得を目的とした商品提供のインセンティブを抑制し、顧客の最善の利益を図ることができると指摘しています。
日本の販売手数料型モデルから、
海外で主流の助言型ビジネスモデルへの
切り替えの重要性について述べています。
しかしながら、日本ではこれらを実施するためのツールや情報もまだまだ不十分。
弊社の助言サービスや、
ファミリーオフィス型支援が、
金融庁が実現したいことでもあるため、
引き続き透明性を大切にしながら、
運用パフォーマンスの向上、
サービスの拡充に力を入れていきたいと思います。
3.金融コラム/上半期終了 ETF(上場投資信託)のパフォーマンスはいかに
さて、前のコラムでは
運用業界について言及しました。
運用会社が提供し、みなさんが購入できる
一般的な商品は、
投資信託やETF(上場投資信託)です。
投資信託は6,000本以上、
ETFは約300本くらい日本にはあります。
メルマガ63号に書きましたが、投資信託はコストが高いうえ、ほとんどがETFで代替できるので、もし購入する場合は、ETFが良いですね。
今回、上半期も終了し、
7月に突入しましたので、
ETF273本のパフォーマンスを調査してみました。
273本のパフォーマンス中央値は、
+15.13%でした。
トップ30 です

(Bloombergデータよりモノリス作成)
レバレッジ指数連動型、半導体関連、のETFが高いパフォーマンスを発揮しています。
上位5つのETF全てがレバレッジ指数に連動するもので、そのパフォーマンスは63%以上となっています。
これは、レバレッジETFが市場の動きを倍増(あるいはそれ以上)するため、市場が良好なパフォーマンスを示したときには特に有利にはたらく構造になっています。
続いて、ワースト30

(出所:Bloombergよりモノリス作成)
インバース運用、つまり対象商品の下落に対して投資をする商品のパフォーマンスが悪い状況です。
まぁ今年はあらゆる商品が上昇しているため、
当たり前ですね。
それにしても、似ている商品がいっぱいありますが、こんなにいるのでしょうか。
また、商品が似ているのに、パフォーマンスが10%近くも異なる商品もあります。
なぜか。
これが、金融庁が指摘している問題の一つです。
4.経営コラム/歴史的偉業 Apple 時価総額3兆ドル突破
メルマガ第83号では、Appleの新製品、Apple Vision Proの魅力について取り上げましたが、なんと遂にAppleの株式時価総額が3兆ドル(約434兆円)を突破しました。
イギリスのGDPに匹敵します。
【Apple の株価】
日本企業最高のトヨタ自動車(約37兆6千億円)の約11倍の価値で、
Appleの株価は今年だけで49%上昇し、
その価値は1兆ドル近く増加しました。
シティグループのアナリストによれば、
まだまだ30%の上昇余地があるとのこと。
ただ、株価が急上昇しているため、他の世界の証券アナリストの平均目標株価をすでに上回っています。
白:アップルの株価
青色:アップルの株価とアナリストの平均目標株価の差

(出所:Bloomberg)
株価の上昇に加えて、
Appleの12ヶ月配当利回りも0.48%
となっています。
実際、先週のニュースでは、栃木県に住む無職の男性が、20年以上前にApple株に投資し、およそ6億900万円の利益を獲得。その後、申告漏れが発覚し、脱税の容疑で逮捕されました………とか。
【業績】
Appleの22年期の売上高は日本円にして48兆円。Iphoneが52%、Apple Watchやホームアクセサリーが10.5%、Macが10%、ipadが7.4%、その他のサービスが7.4%となっています。営業利益率は30%と、本当に優秀な企業です。
これだけの売り上げを創った Appleといえば、
スティーブジョブズ氏が有名ですが、
ジョブズは、一流の技術者ではなく、
経営者でもなかったと言われています。
本人も、
「僕が得意なのは才能のある人材を集めて、何かをつくること」
つまり、人集め、アイデアの創出、交渉、
プレゼンテーションで、これだけの会社を共創してきたのです。
技術は共同創業者のウォズが、
資本金はマイク・マークラ氏、
経営はペプシコーラの社長だったジョンスカリー氏、
ピクサー時代にもCG技術はエドキャット氏、
製作は、ジョン氏に丸投げ。などほとんどを一流人財に任せていたようです。
一方、毎朝5時頃に起床し、
自分のアドレスを公開して、
全てのメールを読み、
アップル製品や消費者の想いを理解する
現CEOのティムクックは、
「わたしは、スティーブにはなれない。スティーブになれる人なんかいない。彼は、100年に1人の逸材、想像が及ぶことのない個性。だとすれば、自分にできるのは最良の自分であることだけでした」と言っています。
そのティムクック氏が、先月
23年第二四半期の決算を発表しています。
【CEOのティムクックの決算説明の要約】
・Apple社は3月四半期の売上高を948億ドルと報告し、これは予想を上回る結果でした。
・新興市場でのパフォーマンスは堅調で、メキシコ、インドネシア、フィリピン、サウジアラビア、トルコ、UAEで過去最高の記録を達成しました。ブラジル、マレーシア、インドなどでも3月四半期の売上高で記録を更新。
・3月四半期には、外国為替の逆風と、マクロ経済環境に関連する継続的な課題に直面し続けましたが、売上高は前年同期比で3%減少した一方、通貨換算ベースでは成長。
・iPhoneは3月四半期の売上高が513億ドルとなり、新たな3月四半期の記録を樹立しました。Macの売上高は72億ドル、iPadの売上高は67億ドルで、これらも予想通りの結果でした。ウェアラブル、ホーム、アクセサリー全体の売上高は88億ドル。
・サービス部門は3月四半期に209億ドルの売上高を記録し、過去最高の数字となりました。App Store、Apple Music、iCloud、および支払いサービス全体で過去最高の売上高を達成し、さらに、975万以上の有料サブスクリプションを提供しています。
・Apple TV+は、視聴者とレビュアーから絶賛を受け続けています。また、メジャーリーグサッカーとの10年に及ぶ歴史的なパートナーシップの最初のシーズンも順調に進行しています。
Apple社は環境への取り組みも重視しており、製品ラインナップはサステナビリティの観点から設計され、省エネルギーでリサイクル可能な素材を使用しています。2030年までに製品のライフサイクルを完全にカーボンニュートラルにすることを目指しています。
【サプライチェーン】
Appleの成功の裏には、製品の品質だけでなく、パートナーシップと販売戦略があります。製品の仕入れや製造はホンハイや立訊精密工業、ペガトロン、クアンタコンピューターなどが担当し、販売先はB to Cが40%、通信メーカーが60%を占めています。
また、M&Aを武器に成長を遂げています。
これまでに、約115社以上も買収していて、
今年に入ってからは、
Mira Labs Inc(産業用ヘッドセットの会社)
WaveOne Inc(AI動画圧縮アルゴリズムの会社)
の2社を購入しています。
【将来の展望】
Appleはハードとソフト両方をつくっていますが、
結局人間は、何かを手にすることに、
より魅力を感じる。
手を動かすことで、
購入意欲が湧くと思っています。
そう考えると、
・今年秋に発表される新型Iphone15
・2024年発売予定の初のゴーグル端末 Vision PRO
・2026年発売予定のApple EV Car
は必ず人々に感動を与え、
かけがえのない価値をもたらすと感じます。
今週もよろしくお願いします。